◎おやしょく


実福+燭福


「実休、おかえり」
 福島が声をかけるのを、実休はほっと息を吐いて受け入れた。
「ただいま。福島はひとりなのかい?」
「光忠は審神者に呼ばれてる」
「こんな夜に?」
「遠征部隊に夜食を作ってあげてって言われただけ。今なら光忠と審神者特製のうどんでも貰えるんじゃないか?」
「いいね。福島も行こうよ」
「俺は遠征してないだろ」
「燭台切もだよ?」
「わかったから、手を引っ張るなって」
 ぐいぐいと手を引っ張って、実休と福島は厨に顔を出した。燭台切がすぐに気がついて、おかえりと笑う。
「主くんなら遠征部隊にいた謙信くんたちと食べてるよ」
「そうだったんだ」
「実休さんもうどん食べる?」
「福島も」
「福島さんも?」
「俺はいいって、冷たい麦茶でも飲めばいいから」
「それなら簡単にスープを作るよ。あたたかいからって冷えたものはまだ早いよ」
「うう、そうかな」
「ねえ、どんなうどんなの?」
「肉うどん」
「夜食なのにがっつりじゃないか?」
「福島さんも遠征から帰ったらたくさん食べるのに」
「うう、」
「ほら、福島も美味しいスープ作ってもらおう?僕は着替えてくるね」
「俺は手伝うからっ!」
「福島さんは少し顔を貸して」
 へ、と福島が目を丸くすると、燭台切がちうと唇に口付けをする。それを見てから、実休が後ろから福島のうなじに口付けた。
「ちょっと、ふたりとも、ここ、」
「これでおしまいだよ。福島さんもどうせなら肉うどんにしなよ」
「ううーっ! わかったから、そうする……」
「ふふ、仲良しだね」
「実休は着替えてこいよ!」
「はあい」
 桜が香るなあと、食器を片付けにきた審神者が苦笑していた。



05/06 22:43
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