◎お兄ちゃん@ほぼ鶴丸+獅子王


燭福/ほぼ鶴丸+獅子王です

「福島さんあのね」
「お兄ちゃんだよ」
「それなら僕は先輩だよ」
 いつものやりとりをしつつ、燭台切と福島は連絡事項を伝えている。はて、と鶴丸は首を傾げた。
「あれって面倒じゃないか?」
「俺に聞くな鶴爺」
「なんだと獅子爺」
 珍しく近侍部屋から出ている獅子王と鶴丸は、それなりに茶飲みの友達である。というより、獅子王の交友関係も鶴丸の交友関係も広いのである。閑話休題。
「お兄ちゃんと呼べばいいだけじゃないか」
「それ兄弟刀がいない俺たちには分からない感覚だよな」
「そうなんだよな」
 しみじみと、分からんと平安刀二人は茶を啜り、せんべいを齧る。
「お兄ちゃんって特別なのか?」
「さあ? 俺はお兄ちゃんって呼ばれても頭大丈夫かと思うけど」
「俺たち兄弟刀いないからな」
「おう」
 話が堂々巡りである。分からんもんは分からんと、二人はせんべいに続いて饅頭を取り出した。
 ああでも、と獅子王は言った。
「あれでいて、燭台切は福島のことすっげーお兄ちゃんだとは思ってるよな」
「ああ。そうだな」
 だって、一切否定しないのだ。あの燭台切が。
「いつお兄ちゃんって呼ぶか賭けるか?」
「福島が重傷になれば呼ぶんじゃねえ?」
「あまりにも不謹慎だ。やめよう」
「そうだな」
 ははは、と爺たちの茶が進んだのだった。



03/12 00:34
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