◎バグを抱えて踊れ
燭福
愛と信仰は似ている。審神者がそう言っていた。だから、あなた様方は愛をしたら、自己を見つめなさい、と。
はらはらと床に福島の髪が散らばる。
「光忠?」
どうしたんだいと手を伸ばされる。その手に、頬を擦り寄せる。甘えん坊かいと微笑む"兄"は嬉しそうにしている。押し倒して、距離も近くて。でも、心は何より遠い。
「福島さん、」
「お兄ちゃんって呼んでもいいんだが」
「お兄ちゃん」
いざ呼ぶとびっくりしたように目を丸くするから、ゆっくりと彼の手に口付ける。
「僕のお兄ちゃん」
「うん、俺は光忠のお兄ちゃんだよ」
「嫌なら嫌と言ってね」
「嫌なわけないだろ、可愛い弟なんだから」
ふふと笑う彼に危機感はなくて。ああ、と思う。
これを愛を呼ぶのなら、信仰と言った審神者はどこか間違えている。
「光忠、泣きそうだ」
「うん、そうだよ」
あなたの全てが欲しいんだ。そう言いたくて、言えなかった。だって、僕らは刀剣男士なのだから。
03/07 18:02