◎アイスクリーム日和@ちょもあず前提、姫鶴+小豆


ちょもあず前提、姫鶴+小豆


「あつき」
「うん。どうしたんだい、姫鶴」
「あいすくりーむが食べたい」
「おや、りくえすとかい。めーかーがあるからね、すぐつくれるよ」
「甘やかし上手」
「ふふ、ほめてくれてありがとう」
「これ、褒めてんのかなあ」
 姫鶴が小豆の背中にこてんと凭れ掛かる。小豆はくすくすと笑いながら、それではうごけないよと告げた。
「あつきはさあ、」
「うん」
「好きなやつ、いるんでしょ」
「それはまた、きめつけだなあ」
 だって、と姫鶴は拗ねるような声で言う。
「恋をすると、綺麗になるって、聞いたから」
「……わたしがきれい?」
「すんごい綺麗。綺麗になったよ、あつきはさ」
 これが、こころを手に入れた刀の美しさか。そう姫鶴が小豆の背中を撫でる。広い背中に、温かな体温が心地良い。揺り籠の中はこんな感じなのだろうか。姫鶴は言う。
「いいよ、好きなやつが誰かなんて言わなくても。いいんだ。好きなやつが俺の知らないやつでも」
「うん」
「でもさ、これだけは分かる」
 あつきは綺麗だ。そう言われた小豆は、褒めてくれてありがとうとそっと姫鶴に声をかけたのだった。



09/05 20:22
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