◎言葉探し


さみくも


 太陽と満月。どちらが良いでしょうか。
 良いばかりではないことを、知ってるのに。

「雨さんあのね、」
 村雲は語る。
「今日は紫陽花が咲いていたよ。雨続きだったからとても綺麗だった」
 瑞々しくて、柔らかくて、色とりどりで。
 きっと、雨さんの季語の仲間入りをするような光景だったよ。村雲はふわりと笑った。

「雲さん、実は」
 五月雨は語る。
「今日は珍しく晴れたので、洗濯の手伝いをしたんです」
 青空と白い布団が鮮やかで、そろそろ夏が来ると思ったのです。
 雲さんにも見せたかった、と。五月雨は口惜しむ。

 四六時中、一緒に居られたらいいのにね。二口は笑い合う。同じ本丸に所属し、刀剣男士として肉体を得た身。自由が効かないなんて当たり前だ。我らが頭は審神者ただ一人。お互いが唯一無二とも言えず、ただ、命と本能に従うのみ。
 嗚呼でも。
「もしかしたら、明日は違うかもしれません」
 雲さんだけを愛している。それだけは変わらないから、明日には違う行動を起こせるのかも、と。



06/14 21:28
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