◎あまおと


さみくも


 いつか、光と為れと。

 初夏の夕暮れ、夕立。夜は涼しくなりそうですね。五月雨が言う。
「あのね、雨さん」
 言わなくちゃならないことがあるんだ。村雲は言う。五月雨は、はい何でしょうと返事をした。
「俺ね、雨さんが好きなんだよ」
「そうでしたか」
「うん。それだけ」
 夕立、雨は激しいが空は明るくなっていく。夕暮れが、ガアガアと顔を出す。
「今宵の星は何色でしょうか」
 ふと、五月雨が言う。村雲はそうだねと頷いた。
「きっと、赤や黄色や、青があるよ」
「では、月は?」
「黄色かなあ」
 私は、ですね。五月雨が微笑む。
「空ほど気まぐれなものはありません。でも、」
「うん」
「月が綺麗だと、伝えたいです」
 駄目でしょうか。五月雨の言葉に、村雲は構わないよと微笑んだ。



06/10 21:51
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