▼ おおかみさん
Mar 25, 2022(Fri.) 21:22
堀清


 真っ昼間。和泉守が出陣した。加州はそれを見送る。隣では、堀川が、気をつけてねと声をかけていた。
「堀川ってさあ、一緒に出陣したいって言わないんだね」
 加州の疑問に、堀川は審神者の采配だからねと笑う。
「何か考えあってのことだろうから」
「でも、一緒にいたくないの」
「いたいけれど、四六時中ではないかな」
 ふうん。加州は首を傾げた。相棒ってどういうものなんだろう。加州はぼんやりと考えた。
「加州くんは疲労で休みだっけ?」
「うん。堀川は?」
「洗濯当番だよ」
 今日はシーツをまとめて洗うんだ。楽しそうな堀川に、家事だって好きなんだなと加州は微笑んだ。
「手伝う」
「え、いいの?」
「堀川ならいいよ」
 俺としては、許される限りずっと一緒にいたいからね。そんな言葉に、堀川は笑った。
「じゃあ夜半に、訪ねてあげるね」
「わ、狼!」
「ひどいなあ」
 でも、正解だ。



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