▼ 落とされた口付け
Apr 2, 2017(Sun.) 01:01
安田×井浦


 そっと落とされたそれに、俺はただ瞬きをした。それだけだった。
「驚かねえのか」
「驚いた」
 そう、と安田は呟く。そしてまた同じそれを落とした。最初は額、今度は頬だった。
「そういえばさ、格言ってあるじゃん」
「そうだな」
 安田は手の甲にそれを落とす。
「意味あんの」
 何が、何に、それらの言葉は要らなかった。ただ安田は嗤うことなく、無表情のまま、言った。
「ねえよ」
 だから俺は瞼をおろして言う。
「あっそ」



落とされた口付け
(口にはしないの)
(してほしいのか)
(そういうわけじゃない)



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