▼ やきもちと告白とラブレター@片思い
Apr 2, 2017(Sun.) 00:58
須田→井浦


「須田ァ…」
「どうした井浦」
「暇うら暇うら」
「そうか」
 須田の背中にもたれる井浦は暇と言いながら携帯をいじっている。きっとメールの相手はいつものあの賑やかな友人たちなのだろうと、須田は思った。
(やきもちとか、ねーし)
「構え須田」
「なんでだよ」
「暇だから」
(そういえばラブレターを貰った。)
 須田にとってラブレターは珍しくもなんともない。だが、宛先が問題だった。
(井浦宛てとか、ないわー)
 須田の下駄箱に入っていたラブレターは井浦宛て。須田はそのラブレターをすぐにズボンのポケットに押し込むと、下駄箱を後にした。そして誰もいない教室でそのラブレターを細かく破って捨てた。気に入らなかった。兎に角、気に入らなかったのだ。
(井浦の隣に誰かが居るとか、ないない)
「なあ、須田。」
「なに」
「告られた」
「…は?」

一体、誰に。

「フった」

 須田は背中のぬくもりを感じながら安堵した。

「…もったいないじゃん」

 声は震えていた。



やきもちと告白とラブレター
(どうしたん須田)
(なんでもないし)



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