ホットココア/やなみき
公園で出会った彼は少し疲れているようだったので、ホットココアを二つ買って一つ渡した。そして二人でベンチに座る。
「大好きです」
唐突に彼が言う。誰がかなんて分かり切ってる、と美紀は思う。この状況なら美紀の予想は外れないだろう。というか当たっている。
「はいはい、そういうことは好きな人に言いなよ」
「本当に、好きなんです。」
「はいはい」
美紀はただあしらう。受け入れてはいけないのだ。だって彼は高校生、ただ年上に憧れているだけなんだろう。私にもそういう時期あった。でも、やっぱり同級生に可愛い人いるでしょーが。
「僕は美紀さんだけが好きなんです」
「そーですかー」
飲み終わったホットココアの缶をゴミ箱に投げ入れる。カラン、と金属音。
「美紀さん」
気がつくと、彼の顔が近くにあって。
「大好きです」
私は
「ココア冷めるよ」
と、冷静に返した。
ホットココア
(あっ!せっかく美紀さんに買ってもらったのに!)
(たかが100円のココアに大げさだねえ)