花リコ
背中にあいつの温度がした。僅かな体温に、どこか安心する。こいつは優しくないけれど、時折、びっくりするぐらいタイミングが良いから驚く。お前とは頭の出来が違うんだよバァカと言うけれど、それにしては単純なところがあるから、やっぱり男の子なんだなと思う。
手の甲に乗せられた手のひらはクリームで手入れしてあるけれど凸凹とした男の子の手で、節くれが心地よかった。
「気は済んだか。」
そんなの、どっちがよ。なんて言いたいのに言えなくて。でも、辛かったこととか悲しかったこととか、全部流してしまえそうだった。
「ばっかみたい。」
私も、あんたも、こんな事で安心するんだから!