▼ 恋をするとすこし、おかしくなる
Mar 31, 2016(Thu.) 17:40
たろじろ


 隣にいないことが寂しくて。
 兄貴がいない。遠征は24時間で、一日中居ない。早朝に出かけたから、帰ってくるのも早朝だ。さみしい、さみしい。
 兄貴は片われみたいな印象だ。アタシに足りないものを持ってて、アタシが持っているものは持ってない。でも、同じものを持ってて、同じように刀だ。
 ずっと一緒にいた気がする。いつから意識があったか覚えてないけれど、気がついたら隣には兄貴がいた。
「さみしい、ねえ……。」
 でも、アタシがこんなにさみしくても、兄貴はそうでもないのだろう。寂しがりで、人と喋ることを好むアタシに比べて、兄貴は会話をあまり必要としない。生きてる心地をどこで感じるかが全く違うのだと突きつけられたみたいで、心臓に似た部位が痛かった。いたい、いたい、さみしい。
「嗚呼でも、出迎えぐらいは許してもらわないとね。」
 そう、寂しがりを押し付けるのは嫌だと思ったから、朝一番に起きて、門で出迎えるのだと決めた。


title by.シュガーロマンス



- ナノ -