デンポ
休日、俺は外に出た。ショップR9への買い出しには少し出発が遅くなったかもしれないと思いながら、気持ち速く歩きだした。
買うものは全てメモしてあるから問題ない。今、手で握っているこのメモを無くしさえしなければ買い忘れがあってコーンにネチネチ怒られることもないだろう。
ずんずん歩いていると、後ろからまってーと声がした。聞き覚えのある声にに、何故こちらに向かっているのだろうと内心首を傾けて振り返った。声で判断した通りの人物、デントがこちらに走ってきていた。もしかしてメモに書き忘れた何かがあったのだろうかと不安になる。このメモを作成したのはデントだった。しかしコーンも俺も確認したことを思い出し、疑問を抱く。本当にデントはなにしにやって来たのだろう。
「ああ、やっと追いついた」
「どうしたんだよデント」
「どうしたも何も。僕も買い出しに行こうと思ってね」
「ちゃんとメモあるから買い忘れはしないと思うぜ?」
「そうじゃないよ」
へたりと笑うデントに、俺は首を傾ける。
「じゃあ何なんだ?」
「簡単なこと。一緒に行こうってだけだよ。」
「ふーん。別にいいけどさあ」
デントは嬉しそうにして、三歩進んで俺に手を差し出す。お手をどうぞーなんてキザな台詞を緊張感の無い声で言うデントに、俺はうわあと引いてから二人で笑い合った。しばらく笑い合って歩き出す。当然手は繋がない。デントが残念そうにしているのを感じてざまあみろなんて内心笑って、俺たちは並んでショップR9に向かった。
二人でお出かけ
(デートだね)(それはない)