◎おやつ過多@シューベルトと中原


シューベルトと中原
!捏造!


 目の前にはにこにこと笑うシューベルト。俺の手元にはフォーク。テーブルの上に並べられたケーキの群れ。しくじった、と思った。
(シューベルトが甘党だとは知らなかった)
 否、何と無く甘いものが好きなのだろうと、共に食事をしては思っていたのだ。だがそれだけでこの状態を予想出来たであろうか。
「夏目さんにオススメのケーキ屋さんを教えてもらったんです。さあ、食べましょう」
 喜々としてケーキを選ぶシューベルトに俺はああとしか言えなかった。そもそも俺は別に甘党ではない。嫌いでもないが、たまに食べれば満足する舌をしている。
「あ、もしかして中原さんは甘いものが苦手ですか?」
 今思いついたと言わんばかりとシューベルトに、俺はそうでもないがとしか言えない。テーブルを埋め尽くし圧倒されるほどのケーキと、噎(む)せ返る甘い匂いに胸焼けがしていた。
 シューベルトはそれは悪いことをしたと言って少し黙り、言い辛そうに語る。
「夏目さんとあの子に、仲の良い人と食べてみてくださいと言われたので中原さんを誘ったのですが……」
 その言葉に柄にもなくドキリとする。嬉しいと心が叫んだ。
「とにかく一つで良いので食べてみてください。残りは全部ボクが食べます」
「え、あ、そう、か。いやっ、それは流石に大変だろ」
「平気ですよ。」
 ボクって甘党なんですと楽しそうに言うシューベルトに、俺は分かるさと笑った。


09/11 02:27
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