なにをさせても完璧で、彼以上に
「オールマイティー」という言葉が似合う人なんていないと思う

「も…無理…ッ」
「さゆ、まだ終わってないだろ」
彼、赤司くんは私の課題を一瞥して本に視線を戻しながら言った

英語に数学に古典。
あまりの課題の多さにため息が出た

「やらないと終わらないぞ」
「わかってるけどさ…」

私は赤司くんみたいに頭良くないからそんな簡単に解けないよ

なんて口にした日には、
解けるようにするために。
なんて言って課題を増やされるのがオチだ

「やる気出ない…」
ノートに顔をうずめながら呟く

あーあ…
恋人になったら彼氏の頭の良さが彼女に移ればいいのに…
なんてありもしないことを考える

「さゆ」
「…なんですか?」
ぐだーとした体勢のまま顔だけを上げて赤司くんを見ると、

「これならやる気出るだろ?」

何もかも見透かしたような目で笑いかけてきた赤司くんを見ながら唇を抑えて何回もうなずく

「正解するごとにキス1回」
「…不正解なら?」
何気にちゃっかりしている赤司くんの条件を説明もなく受けたなら後悔することはもうわかってる
だからこそ聞いた

赤司くんは真剣な顔で尋ねる私の唇に人差し指を当てると、

「みんながいる場所でさゆからキス1回」

と言った

一気に失敗できなくなった条件に冷や汗が流れたのは言うまでもない



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