「おい、清水。いつまでも同じことやってんなよ」

…まただ。
花宮くんは私に冷たい。
木吉くんにも当たりキツいけど、そのとき以上に冷たい

「…すいませんね」
一言謝って少し早足で洗濯をするために体育館を出る

もーさ、どう考えてもいじめだよ。
好きな人にいじめられるなんて私、脈ないじゃん。
あんな性格悪い人を好きな自分もどうかと思うけどさ。

「まだ洗濯終わってないのかよ
トロいんだよ、お前」
今まさに洗濯機の中に入れようとした洗濯物が花宮くんの手によって地面に叩き落とされた

「…ッ」
「つーかさ、もう辞めれば?
お前マネージャー向いてないわ
どうせ男目当てで入ったんだろうしな」

…普通、ここまでする?人が頑張ってるのに…ッ

「………にすんの」
「は?」
「何すんのよ!私だって頑張ってるよ!?
確かに最初に好きな人に近づきたくて始めたよ?
でも、今は素直にみんなに喜んでほしくてやってるのに…
なのになんで、なんで邪魔するのよ…ッ」

…あぁ、花宮くんってそんな表情もできるんだ。
そんなに驚いた表情初めて見たや

「清水」

沈黙が苦しくなってきた頃、花宮くんが口を開いた

「…なによ」
「お前さ、その好きなヤツとはどうなってんの?」
「………は?」
え、食いつくとこそこなの?

「別に…片思い中ですけど」
性格以外は完璧な花宮くんはモテる
…その性格すら隠してるのだから当然と言えば当然なんだけど
とにかく、相手を選び放題な彼に片思いの気持ちなんかわかるわけがない

どうせ、鼻で笑って

お前を好きになる物好きなんか
いるわけないだろ、バーカ

って言うんでしょ

そう思っていたのに、

「俺も片思い中」
花宮くんの口から出た言葉に思わず固まる

「つーか、ダメだった
…なんだよ、そのブサイクなツラ」
「ブサイクなのはほっといて
え、てか花宮くんって失恋するの?」
「お前は俺をなんだと思ってんだよ」
花宮くんはその場に座ると、

「可愛くねーしトロいし鈍いし、いいとこなんもねーんだよな」
いきなりの悪口三昧。
好きなコにそこまでの印象持ちます?普通

「ほら、気づかねー」
「え?」
おっきいため息が聞こえたと思ったら突然引かれた腕

「わ…ッ」
「色気ねー声」
「はっ花宮く…ッ」
「お前だよ」
「へッ?」
え、なにが?

余程まぬけな表情になったんだろう。
花宮くんは(やっぱり)鼻で笑うと、

「気づけよ、バカさゆ」

当たり前のように唇を重ねて言ってきた

一方的に奪われたファーストキスが

同意で重なるまであと少し−…



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