「…わかんないです」
「は?」
目の前にいる後輩、男子バスケ部マネージャーの清水さゆは今にも泣きそうな表情で呟いた
あ、オレ小金井ね
「小金井先輩ぃぃぃ…
水戸部先輩の気持ちがよくわからないんです…」
さゆはオレの腕を掴むと、
「絶対水戸部先輩は私に飽きてますよ…
きっともう好きじゃないんです」
と言った
「さゆ……いたッ!!」
さゆの頭を撫でようと伸ばした腕を後ろから掴まれた
「み、水戸部ッ!!」
振り返れば、不機嫌そうな水戸部が立っていた
「…はいはい。んじゃね、清水」
「えッ小金井先ぱ…ッ…あれ、名字?」
水戸部たちに手を振ってその場を離れる
なんだかんださ、水戸部は清水にベタ惚れなんだよなぁ…
あんな目で、
名前で呼ぶな
さゆに触るな
って言われたら、誰でもベタ惚れだってわかるっしょ
…言われたわけじゃないけど
「あー…いいなぁ、水戸部」
そう呟きながらチラ、と2人を見る
「…らぶらぶじゃん」
こんなとこでチューするなッ
って言いたいけど…
清水が幸せそうだからガマンしとくか
…に、しても
「水戸部怖ぇ…」
もうさゆ、なんて呼べねぇよ…