大好きで仕方なかったから
告白なんかできなくて…

ただ、

友だちと仲良くしているキミを見ていることしか私にはできなかった

「…好き、日向くん」

もう特等席になっている2階の応援席から、みんなに指示を出している日向くんを見て呟く

「こんなとこで呟いてると本人に聞こえますよー」
「わわっ」
後ろから聞こえた声に肩が跳ねた

「ははっ良い反応ッ!!」
「リ、リコ…ッ」
「さゆの呟き、ヘタしたら聞こえるわよ?」
「ぁうッ」
グサッと心に何かが刺さる

い、痛い…ッ!!

「おーい、カントクーッ」
「あー…ごめん、行くわ」
「あ、うん」
コートから日向くんがリコを呼び、リコが慌ててコートに戻る

「…ヤな女」
苦しい胸を抑えて呟く

日向くんが好きだから、リコに嫉妬しちゃうんだ
…大好きな親友なのに

「清水ー」
「え?」
名前を呼ばれてコートを見れば、日向くんが手招きをしていた
え、え?どういうこと?

頭が混乱して状況が飲み込めない。
呼ばれてるから行かなきゃ、っていう気持ちはあるのに。頭が正常に反応してくれなくて

「だーッもーッ!!呼んでんだから早く来いってのッ!!」

さっきよりも声が近くで聞こえてきたと思ったら、いつの間にか隣に来ていた日向くんに腕を掴まれた

「ひ、日向くん?」
「聞こえなかったわけじゃないだろ?」
「聞こえて、ました…」
「なんで無視すんだよ?」
「いや、だって…」
好きな人に名前呼ばれて頭の中テンパってました

なんて言えるはずもなくて口をキュッと結ぶ

「清水?」
「…だった、から」
「は?」
「嫌、だったから…
リコと、仲良く話したあとに話すと、ただの友だちみたいで…ッ」
口から出たのは思ってもいなかった言葉

言ってから自分の言葉に気づいた

私、なんてこと…
これじゃ告白、

「…バーロー」
「え…?」
腕を掴んでいたはずの日向くんの腕は私を抱きしめていた

「ひ、ひゅがく…ッ」
「つーかさ、」
「はい…」
「鈍すぎじゃね?」
「…え?」

「好きなんだけど」

頭の中が真っ白になる

え、なに、今の…告白?

「好きでもない奴抱きしめたりしねーよ」
「なんでわかったの!?」
「清水、わかりやすいし」
「…よく言われます」
恥ずかしく感じながら、行き場がなくてさ迷っていた手で日向くんの服の裾を掴みながら小さく息を吸う

「わ、たしも好きです…」
キュッと裾を掴む指に力を入れる

「…反則だっての」
日向くんはそう言ったあと私のおでこにキスをした

…日向くんこそ、反則だよ



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