たまたま見かけた光景に身体が固まった

「………ゆき?」

女の子の頭を撫でてる彼氏の姿

しかもあのコ、男子が可愛いって騒いでた…

「っゆきの馬鹿…ッ」
女の子苦手とか言っといて、ちゃっかり美人さんと仲良くしてんじゃんっ

「…さゆ先輩?」
「黄瀬くん…」
目の前が霞み出して必死に目をこすっていると、黄瀬くんが驚いたように立っていた

「え、えっ先輩どうしたんスか!?」
「ゆきがぁ…ッ」
また流れだした涙を我慢しないで黄瀬くんに抱きつく

「先ぱ、「さゆ!?」笠松主将ッ!!」
「なにしてんだよ、お前ら…」
ふいに聞こえたゆきの声に肩がビクッと反応した

「…笠松主将。さゆ先輩になにしたんスか?」
「はぁ?」
「先輩、主将のことで泣いてるんスよ」
黄瀬くんはそう言うと私の頭を撫でてくれた

「どうなんスか?主将」
「俺は別になにもしてない」「っ女の子の頭、撫でてたじゃん…ッ!!」
「あー…そりゃさゆ先輩も泣きたくなりますよ」
口を開いたことでますます流れ出した涙で黄瀬くんの制服が濡れていく
…あとで謝って拭こう

なんて考えていると、

「行くぞ、さゆ」

ゆきの声と同時に黄瀬くんから離れた身体
「やだ…ッ離してよ、ゆきッ!!」

掴まれた腕を必死に動かすが離れる気配すらないゆきの手。
いつの間にか黄瀬くんはいなくて、助けを求めることすらできない

「あれは幼なじみだ
泣きながら俺のとこに来たから慰めてたんだよ」
ゆきはそう言って、小さく、
泣かせて悪かった。
と呟いた

それを聞いたら、さっきまでの怒りが消えて無性にゆきに抱きつきたくなった

「…ゆきは優しすぎるんだよ」
「………」
「…でも、

私はゆきのそんなとこが好きだよ」

泣いてた表情なんてすべて消して、満面の笑みを浮かべて抱きついた



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