「あ、ほらさゆ!あのコだよ、変なコ!!」
「誰もいないのにしゃべってるんでしょ?
気持ち悪いよねー」
「へー…」
友達が指差した方を見ると、うつむいたまま歩いている男の子がいた

あれ、この記憶って…

「夏目、お前お化けが見えるんだって?」
「気持ち悪いーっ」

あぁ、そうだ
私と夏目くんが出会った日のことだ…

「こいつ、親いねーんだってよ!!」
「親戚に育ててもらってんだろ?かわいそーっ」

「あんなに言わなくていいのにねー」
そう言いながらも、夏目くんを馬鹿にしてる男の子たちに何も言わないで帰り支度を進める友達を見て、私も慌てて手を動かし出した

そっか、私…

「貴志のこと、一度も庇ってあげたこと、なかった…」

幼い頃の自分を見ていたら、無性に泣きたくなってきた

「…ごめん、なさい」

誰に言うでもなく呟けば、涙が頬を伝った



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