秀徳のバスケ部の練習ははんぱなくキツい。
そんなことは、練習を見てすぐにわかった。
なのにあいつは、
「ねー宮地、まだやってくつもり?」
体育館にかけられている時計を見て言えば、嫌悪感丸出しの目を向けられた
キツい練習のあとなのに、あいつは…宮地は練習中と変わらないくらい厳しい自主練を始めるんだ
「清水、別に俺とお前は付き合ってるわけじゃねーんだ。早く帰れよ、轢くぞ」
「あー怖い怖い」
おどけながら言えば、今度は無視された
お、ナイスシュート
「つか、なんで残ってるわけ?
ここの鍵は俺が閉めてくんだし、帰れ」
「なんで、かぁ…」
よっ、と言って座っていたベンチから降りて宮地に歩み寄ってボールを1つ手に取る
「宮地がさ、ドリブルしながらゴールに向かうじゃん?」
「は?」
「んで、ゴール決めるでしょ?」
「シュート練してんだから当たり前だろ、馬鹿か」
「うわ、ひどっ」
「で、それがなんだよ」
ため息をついて床に座った宮地の隣に座る
「私がさっき座っていた場所から見るとさ、宮地の背中が見えるの
その背中が好きなんだ、私」
ちょっと照れながら言えば、頭を叩かれた
「ちょ、なんで!?」
「…うるせぇよ、殺すぞ」
「えぇ!?なんで…ッ」
宮地の顔を見ると、真っ赤になっている顔が目に飛び込んできた
「宮地、顔真っ赤…」
「見んな、刺すぞ」
そんな顔で言われても怖くないよ、なんて言えなくて、「ごめん」と小さく笑いながら呟いた