バチッ
「おお、スティール!!」
俊くんがスティールしたボールを火神くんが取ると、7番の人が深く守りにきた
外は捨てて、抜かせないこと重視か…
「あめーよ!!」
「3P!?いや…」
「1人アリウープだっ」
桐皇相手に、初めて見せた動きだったにも関わらず、誰1人として躊躇いなく対応してきて、ボールを取られてしまった
「初めての対応じゃないかよね、今の動き」
「ええ、それに、火神くんの外の確率の悪さもバレてる…」
「研究されてんのかぁ、桃井さんに…」
はぁ、とため息をついてコートを見つめる
苦手だなぁ、諜報部員のいる相手こうしたとの試合は…
キュッ
「水戸部先輩!!いけー!!」
1年生の叫びも虚しく、水戸部くんのフックシュートは若松さんに止められてしまった
やっぱ読んできますよねー…
「まずくないすか!?なんか手を打たないと…」
「必要ないわ!このまま行くわよ!」
「え!?」
「いくら正確な情報を持っていたとしても、それは過去のものでしょ。人間は成長するのよ
そんな常識も知らないで、知ったかぶってんじゃないわよ!」
リコがそう言った直後、日向くんにボールが回った
それは、どっからどう見ても3Pの構えで、今日のプレイもノーフェイクの3Pのみだったから、相手の頭にはシュートしかないはず…抜ける!!
そう思ったのに、
「嘘…ッ」
なぜか桜井くんは、日向くんの動きに対応してみせた
初めて見せるパターンなのに、なんで…
「一度戻せ、日向!」
日向くんから俊くんにボールが回り、俊くんがボールを持って19秒後に、再び日向くんに戻った
「そんぐらいやってくると思ったわ。甘いぞ、小娘!」
「え?」
「このまま行く、って言った理由はもう1つあるわ
もっと単純な…つまりそれは、女のカンよ!
彼は女のカンでも、次何するかわからない!」
いつの間にか後ろにいた黒子くんに、桜井くんが困惑している隙に日向くんが桜井くんの隣を走り抜け、火神くんがダンクを決めた
残り 2:15
桐皇 21
誠凛 15
「はぁー…」
「さゆも、こんぐらい考えれるようにしなさいよ」
リコが、感心していた私の頬をうりうり、と言いながらぐにぐにと指で差してきた
「はーい」
なんて答えながら、私の胸にはなぜか嫌な予感が広がっていた