緊張しすぎて味がよくわからない
隣で食事をしている黒子くんをチラ、と盗み見すると、キレイな横顔が目に入って心臓が高鳴った
なんとなく屋上に行くと、たまたま黒子くんがいて、「一緒に食べますか?」と誘われた直後、ものすごい速さでOKを出したのがつい数分前のこと
…何か話さなきゃいけない気がしないでもないんだけど…話題が…ッ
お箸を口にくわえたまま考え事をするというなんともだらしない姿をしていると、
「清水さん」
「は、はいッ!?」
黒子くんに声をかけられ、隣に目線を移動させると、思った以上に近くに顔があって思わずお箸が口から落ちてしまった
「く、ろこくん?」
「清水さんは、火神くんのことどう思ってますか?」
「…へ?」
「火神くんのことです」
大我のこと?
「…バカな友だち?」
ちょっとの間ででた答えはなんともシンプルで…
黒子くんが微妙に笑ったのがわかった
「どうしていきなり?」
「…清水さんは火神くんのことが好きなんだと思っていたんです現に、そういう噂もありましたし」
「大我を?ないないっだって私、」
そこまで言って口をつぐんだ
この流れはマズい…告白するみたいな雰囲気だもんッ
「な、んでもないです…」
「なんでもなくないですよね?」
思わず俯いた私の頬を両手で包んで、黒子くんがいたずらに笑った
「…黒子くんってズルい」
「そうですか?」
「私の気持ち、知っててやってるでしょ」
「エスパーじゃないんですから、わからないです」
そう言ってる間にも黒子くんの笑みは深まっていく
ホントズルい…
「…私が好きなのは黒子くんだから、大我を好きになるなんてあり得ないよ」
やられっぱなしなのがちょっと悔しくて、頬を包んでいた手を解いて小さくリップノイズを響かせて頬にキスをした
「僕も、さゆさんが好きです」
仕返し、と言わんばかりに返ってきたのは唇にキス
…なんか、かなわないや
存在理由はここにある
(ずっとさゆさんを見てたこと、気づきませんでした?)