「…はぁ」
1つため息をついて、時計をちら、と見る
仕事終了まであと1時間
どうせ誰も来ないだろうし…
このまま起きていると昨日のこと思い出しちゃ…
昨日の光景を思い出して背中がぞくりとした
「いやいやいやっ」
頭を振って浮かんだ光景を打ち消して机に突っ伏す
それと同時に眠気に襲われ、瞼を閉じた
「…ん、あっ時間!!」
立ち上がって時間を見ると、閉館時間を30分過ぎていた
「かっ帰らないとっ…え?」
コツン、と指先に当たったなにか
薄暗い中で目をこらして缶と手紙を見つめる
「…ッ」
ようやく読めたときには、荷物を持って走って廊下に出ていた
「っもう、いないよね」
ちょっと残念に思いながら、手紙に視線を戻す
『昨日は驚かせてすいませんでした。良かったらどうぞ』
本当に短い内容
それでも、これを書いた人が気になってしまった
見えない姿とは裏腹に
(冷たくなんかない)
(姿は見えないのに、なぜか暖かく感じた)