「テツくーんッ」
あぁ、また来た。
授業が終わってすぐ、教室の扉のところで元気よく手を振っている桃色の髪の女の子を見る
隣のクラスの桃井さつきさん
黒子テツヤくん…もとい、私の好きな人のことが大好きなすごく可愛い女の子
黒子くんもまんざらじゃないみたいだし…
「…勝てないなぁ」
仲良く話をする2人を見てため息を吐く
桃井さんみたいにスタイルがいいわけでも、バスケの知識があるわけでもない
…勝てる要素なんて1つもない
「清水さん」
「え?」
自分で思っておきながら
ずーん…と効果音がつきそうなくらい沈んでいると、頭上から降ってきた声
−見上げてすぐ、思わず固まった
「く、ろこくん…ッ」
(私が勝手に)沈んでいた原因の本人が少し困ったように頬を掻きながら立っていた
「あの、」
「はいッ」
…なぜに敬語になった、自分
「桃井さんとは友だちです」
「…え?」
「ついでに言えば、恋愛感情はないです」
「?はい」
え、え?なんでこんなこと…
頭に¨?¨をたくさん浮かべていると、
「何で僕がこんなことを言ったのかわかりますか?」
と尋ねられた
もちろん、今考えていたことだからわからなくて、首を横に振る
黒子くんはその答えがわかっていたのか、ほんの少し、口元を緩めて
「清水さんが好きだから誤解してほしくなかったんです」
と言った
当然、私の顔の温度は急上昇
そして、消え入るくらいの大きさで
「あたしも好き」
と呟いた