はぁ、と息を吐き出せば目の前には白い気体
あー…冬だなぁ…
なんて呑気に考えていると、
「おはようございます」
背中越しに聞こえた声
それに反応して振り返ればそこには彼氏の黒子テツヤがいた
「あっおはよう、テツヤくん」
ニコッと笑えば笑顔を返してくれた
…相変わらず可愛い笑顔
「あれ?」
テツヤくんは私の手を見ると足の動きを止めた
「テツヤくん?」
「さゆさん、手袋はどうしたんですか?」
「手袋…」
小さく呟けば頭に浮かぶのは自分の机に放置されたままのどこか切なそうな手袋
「あー…お家でお留守番中です」
ハハッと笑って言った直後、
「…え?」
手のひらに暖かいぬくもり
「…片方?」
片方だけはめられた手袋を見て首をかしげる
いや、別にテツヤくんから手袋を両方取りたいわけじゃないんだよ?
ただ、片方だけという状況にどこかついていけない自分がいた
「反対はこうすれば寒くないでしょう?」
そう言われ、反対の手にはテツヤくんの手のぬくもり
あぁ、なんてベタな展開なんだ…
でも、それでも嬉しい私は
「…うん、ありがとう」
どれだけ彼を好きなのだろうか
なんて、ガラにもなく考えてみたり…