「ぅあースゴい雨…」

窓の外を眺めてため息をつく

いくら雨が降ってても、雷が鳴っても別に怖くない

ただ、

『そっちはどう?』
「なんか、スッゴい雨と雷
俊くんのとこは?」
『うちも似たようなもんかな』

電話口から俊くんの苦笑いが聞こえてきた

「ヤダねー、台風
雨は降るし雷はうるさいし
それに…ッ!!」
『さゆ?』
「っ、や…ッ」
いきなり暗くなった我が家に驚いて思わず電話を切ってしまった

あぁあ、ごめんなさい俊くん…ッ

でもでも、でもッ

「停電だけはムリなのー…ッ!!」

震える手で携帯を握りしめてソファの上でうずくまる

こんな日に限って親はいないし、幸ちゃんも夏休み明けてすぐ、神奈川に戻ってしまった

「早く明かりついてーッ」

そう叫んだ瞬間、玄関を叩く音に気がついた

「だ、だれ?」
「さゆ、大丈夫か!?」
恐る恐る尋ねると、俊くんの声がして
急いで扉を開けた

「俊くん、なんで…」
「電話してる最中にあんな声聞けば、誰だって来るだろ」

あっけらかんと言った俊くんに、申し訳ない気持ちでいっぱいになった

「ごめんなさい…」

もしこれで俊くんが風邪でも引いたら、私のせいだ…

「ごめんなさい、より、ありがとう、の方が嬉しいんだけどな」

髪の毛を拭きながらそう言った俊くんを見て、無性に抱きしめたくなって、気がついたら、俊くんに抱きついていた

「さゆ?」
「ありがとう、俊くん
…大好き」
「…大好きな人のためなら台風の日にでも来ますよ」

どこぞの怪盗みたいなセリフに思わず苦笑いがこぼれたけど、そんな俊くんも好きだなぁ、なんて改めて感じた



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