▽ お姫様抱っこ(信玄)
※初イベネタ。手を引かれる代わりに横抱きだったら…なお話。
「い、痛っ!」
強く引かれる手のあまりの痛さに、思わず声が出る。
その声に信玄様は歩みを止めて、こちらを振り返った。
「すまねえな。ちょっと急ぐぜ」
「きゃっ!?」
そう言うなり、軽々と私を横抱きにして駆け出す。
な、何…!?
振り落とされないよう、目の前の信玄様の着物をギュッと掴む。
「ああ、落とすつもりはねえが、小姫、しっかり掴まってな」
こちらをチラリと見て、そう言って笑う信玄様に、黙って頷く。
しっかり、しっかり……。
少し躊躇したものの、その言葉を守らなければと、目の前の信玄様に思い切り抱き付く。
「!?」
…あれ?
その身体が一瞬だけ固まったような気がして、恐る恐る顔を上げると、どこか驚いたような信玄様と目と目が合う。
「お前……」
あれ?
何か間違った…?
「大胆……いや、素直だな」
そう言ってにやりと笑うその顔に見つめられて、思い切り顔が熱くなる。
「!?す、すみませ…あっ!」
「ば、馬鹿!離すんじゃねえ!」
落ちそうになったところを抱き留められて、思い切り抱き締められるような恰好になる。
さ、さすがに、これは…!
「し、信玄様、は、離し…!」
「いいから。そのまましっかり掴まってな。今度は絶対離すんじゃねえぞ?」
「……!」
は、恥ずかし過ぎる……!
抱き締められているその腕と胸の逞しさにドギマギしながら、真っ赤であろう顔をその広い胸に埋めた。
おしまい