▽ 過保護な人々(成実)
「本当に成実でいいのか?小姫、考え直すなら今しかないぞ」
小十郎様はそう言って、私を真っ直ぐ見つめる。
「大丈夫か?一時の情に流されず、きちんと考えて結論を出した方がいい」
政宗様まで、そう言いながら真剣な顔でこちらを見る。
「えーと……」
どうしよう。
どう返すのが無難なのかな。
困惑しながらそんな二人を交互に見つめていると、すぐ横に座る成実様が盛大にため息をつく。
「…二人とも酷くないか?それじゃまるで、俺が駄目な人間みたいじゃないか」
「みたいじゃなくて、そうだろう」
「そうだな」
小十郎様と政宗様からそう畳みかけられて、成実様はがくりと肩を落とす。
「酷っ!二人とも、小姫が誤解するじゃないか…!」
「誤解じゃなくて事実だろう。女関係に関しては。火遊びした女の数は、断然お前が…」
「ちょ、ちょっと待ったー!小十郎、それ、今ここで言うことじゃないよな?」
「今ここで言わないでいつ言うんだ」
「成実様…。そ、そんなに……?」
「ちょ、ちょっと待て、誤解だ、小姫…!そんな虫けらを見るような目で俺を見るな!さすがの俺でも泣くぞ…!」
おしまい