▽ うそつき(才蔵エンドIFネタ)
※狐面無し才蔵さん&向かい合うヒロイン設定で
「才蔵さん、どうして…」
こちらを見つめるその顔を、真っ直ぐ見つめ返す。
「任務だからに決まってるでしょ」
その声は、無機質で冷たい。
「でも…」
「痛くないようにしてあげるから。おとなしくしてくれる?」
刀が目前まで迫り、その目がゆっくりと細められる。
「私は殺されてもかまいません。でも才蔵さんは……それで後悔、しないですか…?」
「…何言ってんの。する訳ないでしょ」
その顔から、全ての表情が消える。
でも、私は見逃さなかった。
最後の言葉の前に、才蔵さんの眉間に、ほんの少しだけ皺が寄ったことを。
嘘つき。
じわり、目に涙が浮かぶ。
涙をこらえるように、そっと目を閉じた。
おしまい