「お前、ほんとに団子好きだなー」

皿に山盛りになった団子を黙々と食べる才を見ながら、ため息をつく。

「まあね」

ニコリと笑って、さも当然と言わんばかりに才はそう言う。

こういう仕草や表情は、本当、先生に似ていると思う。

その上俺よりも強いのだから、羨ましくて、ちょっとムカつく。

「お前ってやっぱり、先生に似てるよな。もしかして強さの秘密って、団子にあるのか？」

「さあね」

「その団子、俺も食べる！」

「やだ」

「そんなに一杯あるんだから、１本ぐらいいいだろ！」

「小姫が俺にってくれた団子だから。やだ」

「大人げないぞ、才！」

「…ま、子どもだからね？」

余裕たっぷりに笑う、その態度がやっぱりムカつく。

「大丈夫だよ、佐助くん。お団子、沢山あるから」

くすくすと笑いながら、団子の載った皿を持った小姫がやってくる。

「やったー！」

これで団子が食べられる。

そう思って笑顔で小姫の持つ皿へと手を伸ばすと、その手が空を切る。

あれ？

「ちょっと、才くん！？」

慌てた小姫の声。

後ろを振り向くと、いつの間にか才が両手に団子の皿を持っていた。

「小姫の作った団子は、全部俺の。ね？」

そう言って笑う才に、小姫が怒るかと思ったら。
何故か真っ赤になって、固まってしまった。

「どうしたんだ？小姫」

心配になってそう声を掛けると、小姫ははっと気を取り戻す。

「ご、ごめんなさい、佐助くん。何だか才蔵さんに、そう言われたような気がして…」

もごもごとそう言って、真っ赤になる小姫を見て。

こいつには敵わない。

何故かそんな確信をする。

「取りあえず団子、１本位よこせよ、才…！」

おしまい

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