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▽ 手裏剣指南(才蔵+清広+佐助)


※絆イベ幸村ルートの忍3人(才蔵+清広+佐助)のお話


「先生!今日こそ手裏剣教えてくださいっ!」

気合充分で部屋に入ってきた佐助を、気だるげに見つめ返す。

「…今から?」

正直、かなり乗り気じゃない。

「この間、今度教えてくれるって約束したじゃないですか…!」

「したっけ?」

「しました!」

覚えていない。
ただ、多分したのだろう、とは思う。

いやだと言ってもすぐには納得しそうにない佐助の気合の入った顔に、やれやれと立ち上がり、部屋から出る。

「…清広、いる?」

縁側に向けてそう呟くと、すぐに音も無く清広が姿を現す。

「お呼びですか?才蔵さん」

「清広、この後時間ある?」

笑顔でそう問うと、何か面倒事を押し付けられると察したのか、清広の表情が曇る。

「…どのようなご用件ですか?」

「佐助に手裏剣教えてやってよ」

「え?」

清広が驚いたように瞬きをすると、そこに佐助が割って入る。

「清広さんが教えてくれるのか?わーい!やったー!」

無邪気に喜ぶ佐助を見て、清広が小さくため息をつく。

「…すみませんが、今日は無理なので……」

「ええーっ!?」

悲しそうな顔をする佐助から目を逸らし、清広は続ける。

「……………明日であれば」

途端に笑顔になった佐助に、小さく笑みを返す清広を眺めてくすりと笑うと、軽くこちらを睨まれる。

「何?清広」

「…いえ」

はぁと、小さくため息をつくその姿に笑顔を向ける。

「お前のそういうとこ、嫌いじゃないよ」

「…私は好きじゃありません」

くすくす笑う俺の笑い声に、清広の長い長いため息が重なった。


おしまい

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