弾ける水しぶき
高鳴る胸の鼓動
黄色い歓声



 ―溺れた魚―




今日はクラス対抗の水泳大会。
プールサイドは熱気に溢れていた。
『めんどくせー』って散々ぼやいてたシカマルですら、今は大声出して浮かれてやんの。
「行けチョウジー!!」
シカマル、お前って、チョウジに対してだけは熱くなるよな。
あいつ体育はダメダメなくせに泳ぎは結構上手いじゃん。

やっぱりこういう行事は、普段の退屈な授業なんかより全然燃える。


オレたちのクラスは、レース中盤の時点で、ビリから二番目だった。
このままだと…まずい流れだ。

優勝したら今度の週末に、カカシ先生がラーメンおごってくれるって言ってたし、
絶対負けられない。
ラーメンのためじゃなくても、やっぱり男として勝ちは譲れない。

でも、オレはスターターだったから、今更どうしようもない。
流れを見届けるしかない。

最初はトップを独走してたんだけどな。
スポーツだけは万能のキバもいるし、
シノの奴も予想以上に速かった。普段からゴーグルみたいな変なグラサン掛けてるだけあって。

でも…女子がな…。
特にヒナタの奴…なんだか全然泳ぎに集中してねぇんだもんよ…オレがあんなに応援してやったのに。

なんとか最後、巻き返しを図れないだろうか。

うちのクラスのアンカーは、アイツだし…。


ほんとにほんとに
悔しいくらい
何でも出来るあのムカつくヤツだよ…


「サスケ!お前にかかってるってばよ!!絶対抜けよ!!?」
「うるさい。言われなくてもそのつもりだ」
「ちぇっー…、お前じゃなくて、オレがアンカーだったらなー!全員追い抜いてやんのに!」
「練習でオレのタイムを越えてから言えよ」
「はぁー!?ほとんど変わらなかっただろ!」
「どこがだよドベ」
「ぐっ…!」
まだ文句を言い足りなかったのに、サスケは出番が近づいてきたので、
羽織っていたタオルをオレに投げつけて、行ってしまった。

一瞬、見てろよ、と言わんばかりに鋭い視線を向けられて、ドキッとした。

サスケがスタート台に立っただけで、女子の悲鳴に近い歓声が上がる。
 
そして…
サスケは完璧なフォームで水の中へ飛び込んだ。


アイツの泳ぎを見た瞬間…

息が止まった。







弾ける水しぶき
高鳴る胸の鼓動
黄色い歓声



サスケは他を寄せ付けない、
圧倒的な速さだった。
しかも綺麗な泳ぎ方…
まるで…
きらきら光る魚みたいだ。


こんなにクラクラくるのはきっと
夏の日差しのせいだと
そう思いたいけど…、

あぁ…
やっぱりあいつ
かっこいい。





「優勝は――」
アナウンスが聞こえないほど
オレはサスケに見とれていた。


「これで文句ねぇだろ。ほらよ」
優勝の2文字が書かれた賞状を、サスケはオレに見せつけて来た。
「お、おう…やるじゃんお前」
「フッ、別に」
あ、サスケの笑った顔、久しぶりに見た。
優勝よりも、そっちの方が嬉しかったなんて。







「サスケ…少し待っててくれねぇか…。」

誰もいなくなったあとの更衣室で
水着のまま、
オレたちは冷えた体を寄せ合った。
素肌が触れる感触に、自分らしくない、切ない感情がこみ上げてきた。

サスケに、このまま抱いてくれと
情けない哀願をした。
そうじゃなきゃ、息が出来なかった。
興奮が冷めやまない。苦しい。

こんな場所だし、当然断られるの覚悟で言ったけど、
サスケは…優しくキスしてくれた。





「あっ…はぁ…はぁ…」
「スゲェ濡れてるな…」
「っ…!プールの…水だよ…!」
「それはとっくに渇いてんだろ。全部お前の出したモンだろうが」

「あっ!!あーっ!も…やっ…」
「嫌じゃねぇだろ。お前から誘っておいて。ほら、もう一回イっちまえよ」
「だっても…3回め…」
「オレは今日4 人抜きしたけど、お前も4回くらい抜けるんじゃねぇか?」
「バッカ…無理っ…っつーか、サスケが冗談言うなんて…めずらし…」
「冗談じゃねぇよ」

サスケの手が早くなり追い上げられた。
オレのもうぐちょぐちょ…
サスケ…気持ち悪くないかな…

そんな心配をよそに、急にフェラされて、サスケの口ん中に3回目出した。



「はぁ…はぁ…、サスケ…ごめ…」
気持ちよさで気絶寸前。
コクっとサスケの喉が鳴る音と、口の端を拭う仕草にもクラっときた。
オレが今出したの全部飲んじゃったんだ…て思うと、なんだか涙が流れる。


「ナルト…お前すげぇ熱いぞ…大丈夫か?」
「うぅ…頭が…ボーッとするってばよ…」
惚れてる奴にこんだけエロいことされたら、逆上せるに決まってる。

「一回水に入って冷ました方がいいんじゃねぇか。」
「そ…そうだな…。」

サスケに支えられながらフラフラとプールサイドを横切る。

抱き合って、ぬるくなったプールの水に浸かった。
水の揺らめきとサスケの体温で身体が溶けてしまいそう。

舌を絡めて濡れたキスをしたら、少し塩素の香りがした。


「なぁ…サスケ…お前の泳ぎ…スゲーかっこよかった…。」

キスの合間に、無意識に本音がこぼれた。
そしたらサスケは何も言わなかったけど、何かがはじけたみたい。
水中で急に水着を脱がせてきた。

「えっ!?ちょっ…!」

抱く腕の力が強くなり、グッと腰を引き寄せられた瞬間、
熱い感触に、体が震えた。

「あぁっ!サスケやべぇってこんなとこで……!」

水の中だけあって、ぬるぬると抵抗なく入ってくる。

「はぁ…お前が煽るからだろ…責任取れよ。」

バシャバシャと水しぶきが弾ける。
サスケの暖かい体温と水の温度差、そして突き上げられる快楽で、身体の震えが止まらなかった。

我慢しなきゃと思ったけど無理で、
水の中に放ってしまった。
4回目の射精。



このまま一緒に、
夕闇の暗いプールに溺れてしまってもいいと思った。







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