禁じられた遊び 






人工的な光の街。
里の明かりとは随分異なる電灯には、如何わしい文字の羅列。

「これって、ラブホじゃねぇか!?」
キバの言葉に、ヒナタが赤面。

オレの心の奥底から出たのは、たった一言。

「めんどくせぇ・・・」

マジで、ソレ以外に無かった。



今回チョウジがまた腹痛で入院したため、いのは7班に、オレは8班に合流させられた。

どうやら、シノは親父さんとの特別任務に出ていたらしく、
それでたまたま・・・、今日の任務は、オレ、ヒナタ、キバという珍しいメンバーとなった。

それを束ねる隊長の夕日紅先生・・アスマとはまた違った緊張感がある。
っていうか、なんか怖ぇ・・・。

道中ずっとキバはうるせぇし、逆にヒナタはろくに目も合わさねぇ口もきかねぇ。
紅先生の小言は募る一方。

この時ばかりは自分の班がいかに居心地が良いか思い知った。
ここには居ないシノの気苦労も伺えた。


中継地点に選んだこの街は、完全に大人の歓楽街。
任務の目的地を目指す上での通り道に過ぎない、本来ならば忍とは無縁の場所だ。

紅先生は、溜め息混じりに言った。
「はぁ・・・しょうがないでしょう、どこも満室でここしか空いてないのよ。
一晩くらい辛抱しなさい。」

「へいへい。」
「わ、わたしは全然、だ・・・大丈夫です・・・」
「めんどくせぇけど、野宿よりはマシだろ。」






部屋の中は花の香りがした。
山中花店の自然な花の匂いとはまるで違う、わざとらしい甘い匂いだと思った。
それに加えて、壁もベッドもシーツも、一面花柄。

「くせぇ」
と嗅覚が敏感なキバが一言。

「あぁ」

お互い埃に塗れた荷物を置いた。
花柄のソファーに。

そのあとで、変に無言になった。

おいおい待て、なんだこの妙な空気。



キバはなぜか逃げる様に、「オレ先シャワー浴びる。」
と言ってオレの返事を聞かずに赤丸と風呂場へ消えた。

「あぁ・・・」
一人きりの部屋にオレの虚しい声が響いた。



キバが風呂から上がるまで、丸い形をした花柄のベッドに横たわった。

『キバと、ラブホに一泊』

たぶん、人生で、最初で最後だろう。

なんだか笑える。
同時に、変な汗が出てきた。


(こんなところでヤったら結構いいかもな・・・。)

ふと、誰かを抱いた感触を思い出して、
バカみてぇだと思った。

下半身に血が集まる。
まずい、この部屋の香りは催淫効果でもあんのか?


興奮を鎮めようと、目を閉じて別の事を考えた。

(このまま寝ちまうか・・・めんどくせぇし・・・。)


何分か、空白の時間の中にいた。

「シカマルー?寝たのか?」

現実に引き戻されて、ふと目を開けるとオレを見下ろすキバの顔。

「いや、ちょっと・・・あ、風呂出たのか。」
「うん。お前も入れよ。広くて気持ち良かったぜ。しかも泡風呂!」
「そ、そうかよ・・・」

風呂場のいやらしい形をしたイスをスルーし、泡風呂に浸かった。
『癒し』とはほど遠い・・・。







「お前、こういうとこ何回か来た事あんだろ?」
「はぁ?」

淡いライトに照らされたキバは、甘いムードとは掛け離れたニヤけた顔で、オレに言って来た。
出来れば、こんな場所で、同じベッドに入りながら男同士で会話なんて遠慮したい。
しかも、こいつと。
早く寝ちまいたいのに。

「いや、初めてだよ」
「マジ?シカマルなら経験あると思ったけど。お前彼女居るしさ」
「いねぇよ」
「あの砂の女は?」
「あの人は違ぇって」
「はぐらかすなよ!なぁ、もうヤッた?」
「っはぁ?!馬鹿じゃねぇの・・・めんどくせぇこと聞くな・・・早く寝ろ」
「いいじゃんよ、久々にこういう話も!シノとはまったく出来ねぇし。」
「・・・そりゃあいつは蟲しか興味ねぇだろ。」
「そうなんだよ!」
キバがごそごそと布団で寝返りを打ち、オレの方を向いて一言。

「どんな感じだった?初体験は」
興味津々のエロい視線が痛い。

思えば、こいつとはずっとガキの頃から一緒だったが・・・
昔から、そういう話が出来る唯一の仲だといってもいい。

なんだか懐かしくなってきて、オレもつい・・・

「そりゃ、超気持ち良かったに決まってんだろ」
ちょっと笑って大げさに言うと、キバの顔が極端に赤くなった。
「ま、マジ・・・?」

何興奮してんだよ。

「ずりぃ・・・シカマル、オレもやりてぇな・・・早く・・・」
「お前彼女いんのか?」
「いねぇよ」
「じゃぁまず、そっからだな」
「簡単に言うなよ。初めての相手はけっこう重要だぜ?」
「ははっ、それは女の場合だろ?男は別に、誰だっていいんじゃねぇか」
「うわっサイテーだシカマル!」
「だってよ、お前、選べるほどモテねぇだろ」
「うるせぇ!なんなんだよおまえー!自分どうなんだよ!誰とヤったんだよ!」
「はぁ?・・・忘れたよ。もう別れたし、どうでもいい」
「忘れんなよ初めての相手をよ・・・、まぁでも、ぶっちゃけある程度可愛くて素直な子なら
 オレも誰でもいいかも。あと巨乳なら」
「お前ほんと好きな、・・・オレは別に乳はそこまで・・・」

しばらくアホな下ネタトークで盛り上がった。


ふと、キバが体を起こして言った。

「なぁ、シカマル、オレさ・・・」
「ん?」

「ゴム、付けたことねぇんだわ」
「・・・なっなんだよ?それがどうかしたのか?」
「さっき脱衣所にさ、あったじゃん、ちょっと練習したいんだけど、お前教えてくれねぇ?」
「馬鹿、何でオレが?冗談だろ?」
「いや、本気で。だって他に聞ける奴なんていねぇし、な、頼むよ!」
「いやそんな事頼まれてもよ、って・・・」

人の話も聞かずキバはホテルのアメニティとして置いてある新品のコンドームを持ってくると、
切り口を破いて中身を取り出した。

「うわっ、なんかぬるぬるする・・・何コレ!」
「滑りが良い様にゼリーが付いてんだよ。触ったこともねぇのか?」
「初めて。やべぇ・・・なんか、これだけで興奮してきた」
「なんでだよ」

「で?コレを、・・・こうやって・・・したらいいわけ?」
キバは何のためらいもなくズボンを下ろすと、コンドームを自分の性器の先端に当てた。

先に突っ込みを入れるべき点はあるけど、オレが思わず口走ってしまったのは、
「馬鹿、立ってから付けんだよ!」
「えぇ!!?マジ??」
「そんなに驚くことかよ、常識だろ普通・・・」

・・・っつーか待てよ、いつの間に俺が手ほどきするハメになってんだよ。
正直、超めんどくせぇ。

いくら男同士で幼馴染みとはいえ、おかしいだろこの状況。
ベッドの上で丸出しって、お前も少しくらい恥じらえよ。
これ誰かに見たら完全にアウトだろ。

や、でも、コイツは気心知れた友達だし、まぁ・・・なんつうか、
同情、じゃねぇけど・・・このまま放置すんのも微妙だな・・・。

「な、何で立ってからじゃなきゃだめなの?」
キバは子供みたいな顔でやけに素直に聞いて来た。
しょうがないから、オレも素直に答える。

「あのなぁ、小せぇ時に被せたって、ほら、ずれるし・・・動いたら取れるだろ?」
「あぁ、たしかに・・・でも、勃起しちまったら、もう付けてる余裕なくね?」
「そこは『我慢』すんだよ」
「我慢、出来るかぁ?せっかく興奮してるときに・・・なんか、現実に戻されて、付けてる最中に萎えそう」
「まぁそれはよくある話だな」
「よくあんのかよ!だめだろかっこわりぃ!男として情けねぇ」
「じゃぁ、勃起の持続力鍛えりゃいいだろ?」
「えぇ!?そ、それって鍛えて延ばせるもんなのか?どうやんの?」

「・・・。」

こいつ、エロい話が好きな割にはまったく無知。
たぶん本能のままオナってるだけで、まだそういう知識とか得ようとしてねぇな。

けど本当に分からなくて困ったようなキバの表情は、ちょっと、・・・可愛いとか、思っちまった。
アホかオレは。

「キバ、ちょっと横になってみろ」
「え?・・・こ、こう?」
「そう、仰向けにな」

オレ、何言ってんだよ。しかもツレにナニする気なんだよ。
・・・はぁ、でもしょうがねぇだろ、これは。
不可抗力だ。
甘い香りと、淡いライトと、キバの火照った顔に、なんだか興奮して来たから・・・。

「触るぞ」
「えぇ!?えっ!?ちょっ・・・待っ!!シカッ・・・!?うわっ、アッ」

キバの性器を握り込んで、上下に扱いた。

「だぁー!??待って!?お前ナニしてんの?アッ!!」
「持続力の鍛え方教えてほしいんだろ?口で言うのもめんどくせぇから、実演してやるよ。
まず、立たせねぇと話にならねぇからな・・・」
「いやいや!!そうじゃなくて!!アッ!うっ・・・やべぇって!!アッ、こんなの!!」

「じゃぁ自分でするか?」
「・・・/////」

キバはひどく真っ赤な顔で、小さく首を横に振った。

「いや、違うんだって、そうじゃなくて・・・
し、シカは嫌じゃねぇのかよ!?俺の・・・触んの・・・男のなんて、気持ち悪くね?」

「ん?そうでもねぇよ。同じ構造だから返って分かりやすいし。
感じるところとか。このままオレがしていいなら、するけど?どうする?」

意地悪く問いかけると、快楽に忠実なキバは照れながら言った。
「・・・人に触られんの、変な感じ・・・任せても・・・いいか?」
その一言に、内心、妙な満足感を覚えた。

「いいよ、んじゃ楽にしてろ」
そう言って、俺はちょうど枕元にあったローションを手に取り、本格的に愛撫を始めた。
ぬるぬるになった性器を滑るように扱き上げる。
キバは、びくりと体を震わせた。
「あっ!やっ、こんなんやばい!!楽になんか出来ねぇって・・・!!
あっ、やっ、・・・ん、はぁっ!」

オレが性器をさする度に、キバの腰が弾み、鼻にかかった甘い声が漏れた。
いつもの強気な瞳は、今は涙で潤んでいる。

キバのこんな声を聞いたのも、こんな色っぽい顔を見たのも初めてだった。

正直、その見た事もねぇ姿には衝撃が走った。
こいつ、そっち系の魅力は相当なもんだな、とか思ったりなんかして。

至ってノーマルの俺も、少し腰にキちまった。

キバは自分の声に恥ずかしくなって来たのか、両手で口元を抑え、ぎゅっと目を瞑った。

「別に声とか我慢しなくていいぜ?ラブホは防音だし、・・・苦しいだろ?」
「やっ、ちがくって!アッ!こんな、ん、女みてぇで恥ずいじゃん、はぁ・・・最悪」
「そんなことねぇって、結構好きだよ、お前のその感じ方」
「なっ・・・!///ばかっ!やめろよそんな、言うの!・・・んっ!!」

本当に、やばいと思った。
キバの奴こんなに可愛かったっけ?

「あっ、シカマル、やばっ、アァッ!俺もう・・・イキ、そうっ・・・!!」
「ダメだよ、まだイくな」
限界が近い先走りでぐちょぐちょに濡れたキバの性器を、オレはぎゅっと握り込んだ。
びくびくと震えながらキバは体を身悶えさせた。

「はぁアッっ!?・・・やだっ、何すんだよぉぉ、シカァ・・・!何でぇ!?」
「持続力鍛えたいんだろ?ほら、ギリギリんとこで、我慢しろ」
「やぁ!シカ、だめ、一回出させて!!」
「だーめ、もう少し我慢しろ」

そのまま、寸止め状態を味わわせて、一時間近く経っただろうか。
キバは涎垂らして涙流しながら何度も訴えて来た。

「んぁぁ!!シカ!!ひどっ、頼む、もう無理だってぇぇ!!イキたいぃぃ!!」
「だめ、まだまだ」
「しかぁぁ!はぁはぁ!!やだってぇアァァッ出したいっ!!もうやだやだ!!」
「こらこら、暴れんなw」


正直・・・・ちょっと愉しかった。こいつ虐めんの。表情がたまんねぇ。


「あっあっ!!シカマルッ・・・はぁっ・・・アァァッ!!」

二時間くらいキバのアヘ顔を堪能したあと、やっと一回イカせてやった。

ものすごいドロっと濃くて、大量に吹き出た。

「どうだよ、我慢した分、すげぇ気持ちよかっただろ?」
「あっ、はぁ、はぁ・・・さいてぇだ・・・てめぇ・・・覚えてろよ・・・!!」
「おいおい、お前が言い出したんだろ?あんだけ感じておいてよ」

「オレもう、死ぬ・・・疲れた・・・」
「ん・・・そうだな、明日も任務だし、じゃ続きは今度家でするか?」
「ま、マジ!?続きって・・・どんな?」
「まぁ、そんときのお楽しみだなっ」
「シカマル・・・お前キャラ変わってんぞ。この変態!」
「今日のお前に言われたくねぇんだよ!」



知らなかった。あんな顔をするなんて。

なんだかもっと、知りたくてたまらなくなった。
キバの色んな表情を。

ちょっと後ろめたくはあるけど、それ以上に好奇心の方が勝ってる。

しかし今日のところは俺は熱くなった体を悟られない様にキバに背を向けて「寝よう」と促した。

これ以上何かして、任務で使いもんにならなくなったら、オレの責任だし?

しばらくして、背中越しに安らかな寝息が聞こえてくると、
オレは振り返り、花柄のベッドで眠る可愛い横顔を見つめた。

そして密かに、頬の赤いマークにキスを落としてみた。

それだけで馬鹿みたいに興奮したことは秘密だ。

(やべぇ、キバにはまっちまうかもな、オレ・・・。)

帰ったら、こいつとナニして遊ぼうかな・・・。










END



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -