御茶挽




(Vちゃんが精液飲ませてる)
















某月某日

 拝啓
 こんにちは。この手紙を読む頃、君は恐らくどうしてすぐ会えるのに手紙なんてまどろっこしい物を送ってくるのかとお思いでしょう。或いはメールでいい。そうです。僕もそう思います。けれど、どうしても手紙でなければならない理由があります。それは僕が、君に告白しなければならないことがあるからです。この告白を聞いたら君は僕のことが嫌いになるかもしれません。なので、この手紙にてそれを記します。

 事の発端はなまえが、W兄様がこちらに帰省なされる際に折角だからと僕らの家へ訪問に来た時です。たしか丁度夕方に帰ってくると言っていたでしょうか。昼下がり、君が上がった時はV兄様も出払っていて、二人きりでした。覚えているでしょう、いつものようにお茶を飲んでいましたよね。僕はその際とても嬉しかった。君と二人だけでティータイムを楽しむなんて、どんなに望んでいたことでしょう。でも今はそんなことを言っている場合ではないのです。それからです。
 軽く話を交わしてから、ソファに君を座らせて「ちょっと待っててね」と伝えキッチンに向かいました。健気に待っていてくれているであろう君を思いながらティーポットやカップを温め、紅茶を入れる準備をしました。
 ここが運命の分かれ道でした。僕は二人きりというシュチュエーションに浮かれ、大きな間違いを犯しました。ダージリン・ティーの茶葉を取り出したつもりが、アールグレイ・ティーの紅茶缶を取り出していたのです。ただ間違えただけのことですが、君がやってくると知ってから、お茶の時は何の茶葉にしようかとか、どんなお茶菓子を出そうか、どのティーセットを使おうかなど事細かく計画を立てていた物ですから、衝撃が走りました。僕はお湯が煮えたぎる音を背後に頭を抱えます。
 悶々と思考を張り巡らせている内に、ある好奇心が浮上しました。その内容は、こういう物です。入れてしまったアールグレイはミルクティーにしてしまうとして、ミルクに、その、そういう液体を混ぜて入れたらどうなるのだろうか。
 ああ、君の「この、変態やろう!」と罵る声が聞こえてくる様です。でも仕方がないのです。思春期とはそういう物です。しかし自分を正当化している訳でもしたい訳でもありません。なぜなら、この手紙の内容の本題が、これから打ち明ける愚か極まりない憎むべき悪行だからです。
 ミルクティーは、出来上がった紅茶をカップに注ぐ前に、温めたミルクを入れておくでしょう。
 僕はなまえの分のカップのミルクに自分の精液を混ぜて、そのまま「ミルクティー」を作った。これは紛れもない事実です。本当に反省しています。君が不快な気分になることを知っていながらした行為です。許されるとは思っていませんが、言わなければいけないと思ったのです。
 それでも後一つ言わせて貰えるならば、伝えたいことがあります。君は「ミルクティー」の正体を、飲んだ一口目から気付いていたのではないでしょうか? いえ、そんなことを言いたいのではありません。君が僕のしたことに薄々気付いていながらも、優しく笑いながら、おいしいよと、Vの入れるお茶はいつもおいしいね、と言ってくれたことが、いつまでも頭から離れないのです。

 ごめんね、ごめんなさいなまえ。
 どんな答えでもいいので、返事をください。電話でも、メールでも手紙でも、或いは直接でも。すぐに会いに行きます。
 敬具


みょうじなまえ様へ


ミハエル・アークライトより













「ねぇWこれ……」
「それ俺もやった事あるわ」



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