御馳走




(学パロ)(Wさんが精液飲ませてる)





















 今日は二月十四日。色んな女の子が意中の相手を振り向かせようと躍起になり、一方男の子はどれだけチョコを貰えるかを競って色めく賑やかな日だ。クラスの女の子が、全員と言っていい程、チョコを作っていつ渡そうか、何と告白したらいいだろうか、と話し合っている。話を聞くと、わたしの友達は、皆同じクラスのWくんに渡す様だった。
 Wくんは綺麗で、デュエルがとても上手くて成績優秀、物腰も優雅で、理想的な男の子の要素を全て兼ね備えている。それだから、クラス所か、学校全体で大人気だ。わたしも嫌いな訳じゃない。むしろ、すき、な方だ。しかしそれ程でもないというか、やっぱり恥ずかしさがあって素直に好きと表現出来なかった。

 四限目の授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。お昼休みだ。お辞儀をし終わるや否や、クラス中の女の子がWくんの席へ雪崩れ込むかの様に集まった。わたしは彼の斜め前の席なので、何だか居心地が悪くなり、黄色い包装紙と赤いリボンでラッピングした箱を、見えない様に隠してから教室を出る。教室の外にも、Wくんにチョコを渡したいらしい女の子がたくさんいて、とうとうお手洗いに逃げ込んだ。どうしよう、わたしも、Wくんに渡したいのに。その時、わたしの友達とすれ違った。彼女は既に、Wくんにチョコを渡し終えた様で、清々しい顔をしている。焦燥感が募った。はやく、はやくしなきゃ、それこそ渡せなくなってしまう。わたしだって、彼が好きだ。嫌いになる、理由がない。つい意地を張ってそれ程好きでもないなんて言ってしまうけど。彼は、こんなわたしをどう思うだろうか。たくさんの告白を貰うWくんにとっては、わたしなんて一人のクラスメイトとしか認識していないだろう。ただの同級生としか思っていないのならば、言いづらいなんてこともないはずだ。いつもノート貸してくれてありがとうとか何とか日頃の感謝を述べてからさっさと渡して帰ってしまおう。決心がついた所で、自分の机に戻ってお昼を食べていると、斜め後ろから視線を感じた。まさか、Wくんがわたしを見ているなんてあるはずがない。ぐるぐる考えを巡らせていると、いつの間にか六限目が終わっていた。

 終礼が完了する。今日は七限目がないため、皆いそいそと帰る準備を始めた。どうしよう。早く渡さなきゃ、彼が帰ってしまう。机の物入れに隠した箱をぎゅっと握り締めた。
 クラスの皆が次々に帰っていき、教室には、わたしとWくん以外には二、三人しかいなくなくなった。俯いてぐずぐずしていると、Wくんが教室を出ていった。鞄を置いたままだから、先生に用があるとか、トイレだと思い安心した。やがて十五分程経ち、残っていた人達と入れ違いにWくんが教室に入ってきた。扉を閉めるや否や、真っ直ぐにわたしの元へ歩いてくる。後退りしそうになるのを、机に手をついて誤魔化した。

「おや、みょうじさん。まだ残っていらしたんですか」
「あっ……う、うん。あの、Wくんに渡したい物があって」
「渡したい物? ……もしかして、チョコですか。嬉しいです、みょうじさんから貰えるなんて」

 嘘つき。思わずそう感じた。目が笑っていない。
 彼が待ち伏せていたかの様に、数人の人達と互い違いに入ってきたこと、戻ってきた時、まるでわたしが残っていたのを最初から知っていたのかと思うぐらい真っ直ぐに声をかけてきたことを思い出し、水を浴びた気になった。
 机から、彼に渡すと言った箱を出す。Wくんがわたしとの距離を詰める度に、背筋が凍る様だった。

「はい、こ、れ……なんだけど」
「ありがとうございます。お返しは何がいいでしょうか……あぁ、そうだ、僕も今日、貴方に渡したい物があるんです」

 想定外だった。この流れだと、恐らく高い確率でチョコか、それに準じた物だろう。まさか、あのWくんがわたしに。Wくんはびっくりして吃るわたしを尻目に、綺麗にラッピングされた箱を差し出してきた。

「これです。みょうじさんのためにと思って……手作りなんですよ。よければここで食べてくれませんか」

 尋ねる様な言い方だけど、有無を言わせない仕草だった。彼の言う通りに、包み紙を丁寧に剥がして箱を開けた。中身はトリュフで、手作りとは思えないぐらい綺麗だった。さぁ、どうぞ。彼が急かす様に食べるのを促すので、適当に一つを選んで口に運んだ。すると、どうだ。噛み砕いた瞬間に、どろっとした、それでいて苦くて嫌なにおいのする液体が広がった。眉間に皺が寄る。

「んん……うぇ、ん、くっ」
「……どうでしょうか。おいしいですよね?」
「あ、の……Wく、なんか、変なのが……むぐっ!」
「どうだ、うまいよなぁ? うまいって言えよ」
「んぐ……ふぉ、く……うぁ、お、おいひっ、おいしいです」

 嫌な感覚に耐えながら飲み込んだ。ねばつく口内に嫌な予感がして、中に入っていた物を尋ねると、Wくんに顎を掴まれた。豹変したWくんに驚く間もなく、次々に「チョコ」を口に入れられる。吐き出さないように口を塞がれ、そうしてまた顎を掴まれて、無理矢理それを食べさせられた。

「ふへっ、賢いなまえちゃんは、これが俺の何なのか分かるよなぁ? 言ってみろよ」
「何って、分かんないよ、Wくん、苦いよ」
「とぼけるんじゃねぇ。分かってるんだろ、言ってみろよ。中に入ってるのは何ですかぁ」
「うぅ……ふぉーくんの、せ……たい、えき」

 Wくんに口を塞がれた辺りから、何となく察してはいたけど、認めなくなかった。Wくんは体液という表現が気に入らなかった様で、また、わたしの口にそれを押し込み咀嚼させ、中身を問いかけてきた。噛み締める程に、それがいっぱいに広がって、Wくんに口内を犯されている様だった。いつからか涙が止まらなかった。せいえき。鼻を鳴らしながら、やっとのことでそう答えると、頭を撫でられた。そうして、彼はご褒美だと言わんばかりに残っているチョコをどんどんとわたしに食べさせた。もう、チョコが苦いのか、精液が甘いのか分からない。独特なにおいが口いっぱいに充満し、猛烈な吐き気に襲われた。食道が上下にひくひくと動き、今にも嘔吐しそうだった。しかし、今吐き出せばWくんの手が汚れてしまうため、何とか堪える。胃の中に、Wくんの精液が入っているのだと思うと、ぞくぞくした。

 全部食べ終わる頃には、白くて、少し黄色いゼリー状の物が混ざっているそれが口の端から垂れてしまっていた。Wくんが催促するので、飲み込んだつもりだったけど、まだ口の中がねばねばする。うがいがしたい。息を切らし、机の足に寄りかかってへたり込むと、上から絶望的な言葉が降ってきた。

「よく食べたな、えらいなぁなまえちゃんは。喉が渇いただろ、褒美にお前の大好きな物を飲ませてやるからな」

 はっとした時にはもう遅かった。いつの間にか追い詰められていて、頭上からは金属の触れ合う音が聞こえる。逃げようとすると、腰が抜けてしまったのか全く力が入らず、半泣きになってWくん、Wくんと彼の名前を呼んだ。ベルトを外したWくんは、ズボンを、下着と一緒に太股まで下ろす。涙、鼻水、彼の精液で顔をぐちゃぐちゃにしたわたしを、うっとりした様子で見下ろすWくんに、わたしが好きだった彼の面影はなかった。鼻先にWくんの性器がこつんとぶつかった。上から、何やら言っているWくんの声が聞こえる。わたしに、そういう行為を催促する物だ。泣き声をおさえながらWくんを見上げた。何がそんなに嬉しいのか分からない。


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