00-深夜の営み









カン、カン、カン



決して静かとは言えない4区の街中に似合わない工事音が響いていた

工事音といってもドリルが地面を掘り返すような音ではない



金槌で板を打ち付けるような音だ

建設音、というべきか



1人自分の店で製作に没頭していた青年が顔を上げる



「珍しいな…近くに新しいお店でもできるのかな」



店はCLOSEしており自分しかいない空間に声が溶けた

特に返事が返ってくるわけでもなく、青年は伸びをしてから再び製作に取りかかる





















月夜に浮かぶ影は複数

機敏に動く影は人ならざる動きでその建設物を組み立てていた





夜が明け空に明るみが増す頃、空き地だったその場所には大きな棺桶のような建物が鎮座する



「うん、悪くない」



1つの影が棺桶の真ん中に備え付けられた扉を引いて中に入っていった



閉まるドアには「CLOSE」の文字

ドアの横にぶら下がる看板には「clamare」と綴られている





一夜で築かれた棺桶の城に住まうは魔女か、悪魔か












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