ハートの一味に花束を






ザパッ

とある春島の島近海
黄色に染められた潜水艦が海上に姿を表した

停められた船から降りてくるのは白いつなぎに身を包んだ船員達
その腕にはシートのようなものとかごバック

今日は快晴
気温はそれなりに温かい







──────────





「花って、どんなかなぁ…」

雪の降る空を見上げながらベポがぽつりとつぶやいた
雪の積もる大地に寝転がると振り続ける雪が顔に触れる

シンシンと降り注ぐ雪に耳を真っ赤に染めながら、おれ達は空を見上げていた




「花…」

ベポがつぶやいた「花」
次の日には図鑑を取り出して調べていた

「それ、なにー?きゃぷてん」
「花だ」

図鑑に書き記されているのは世界各国に咲く花達

小さな花から大きな花まで写真で記されているそれは
おれたちにはまだ見たことない未知のもの

「見てみたい」

その気持ちは純粋で
ただ真っ直ぐに花を求めた

「これ、コスモスっていうんだってよ」

平らな石に刻んだのは細い花びらの連なる花

「いろんな色があるねー」
「……見に行こう。大人になって、海に出て」

おれのこの一言が、おれ達を海へ連れ出すきっかけだった





「キャプテン!早く早く!」
「慌てんなシャチ。花は逃げねぇよ」
「わー!一面いろんな色がいっぱい!」

島に上陸したシャチが小走りで丘に上っていく
ペンギンはシートを肩に担いでシャチの後を追った

ベポが船から降りて芝生を踏みしめて
おれははしゃぐ船員たちの後ろをくすりと微笑みながら追いかけた

「はー!すんげぇ花の匂い!」
「カラフルなベッドだな」

ボスリ、ドサッ

シャチとペンギンが一面の花が咲く大地へ寝そべる
持ってきたシートは丸められシャチの枕になっていた

「おれもー!」
「げっ」
「ちょ、待ってベポぶっ」

ドサリ、と二人の上に寝そべるベポ
大きな体は地面に咲く花びらを散らして寝転がった

ふわり

花びらが舞って、花の匂いが運ばれてくる

「はー…気持ちいいな」
「花のベッドでおれ寝るぜ!これ船に積もう!」
「あ!この花美味しそう!」
「食べれる花もあったよな?」

木の根に腰を下ろす
はしゃぐ奴らを見ていると自然と口角が上がるのを感じた

風が、心地いい…
少し、寝るか…

「キャープテンっ!」バサッ
「ぅおっ」

目を閉じて気持ちのいい微睡みに身を預けようとした矢先
突然おれの頭に何かが降ってきた

顔を上げればシャチとペンギンとベポがおれを見下ろしている
どうやらおれの頭にこれを乗せたのはベポらしい

「花かんむり!」
「キャプテン似合ってるー!お姫様っアハハハ!」
「誰がお姫様だ誰が…クククッ」
「シロツメクサのおひめさ…うわっ」

おれを指指して笑うシャチはとりあえず地面に沈めてやろう

「お前には雑草の冠がお似合いか?シャチ」
「シャチその帽子の中に草詰めてけよ!雑草の王子!ははははっ!」

腹を抱えて笑うペンギン
こいつはコスモスが好きだった

地面に沈むペンギンはたんぽぽが好きだと言った

ベポは食える花が好きだ
あぁ、コックに花料理を作ってもらおうか…

今日は、ここで昼寝をしよう
きっと昔の夢を見る
そしたら言ってやるんだ

「今、花のベッドで寝てるぜおれ達」




次はどの島に行こうか

きっとそこにも見たことのない花がある

今度は図鑑を持って行こう

おれの好きな花も探しに








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ニコニコ動画で見つけた動画を見て文にさせて頂きました
http://www.nicovideo.jp/watch/sm18041279
幼少期模造設定となりますがこんな彼らはかわいいだろうなーと思いながら描きました
すんごいほのぼのして心があたたまる動画です!
ぜひ一度見てください!

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