※学パロ


どうやらジュード・マティスは前髪を掻き上げるのが癖らしい。と言うか、掻き上げざるを得ないと言うか。
何度払っても長くさらさらの髪はおりてきて、視界を塞ぐ。払って、おりてきて、払って、おりてきて。
同じ動作を繰り返すジュードは猫じゃらしと格闘する子猫みたいだ。
前髪との熱き戦いは俺のところへ質問に来るときも同じで、数えてみたところ10分で5回くらいはやっている。

「なぁ、ジュードくん」
「はい?」
「前髪切らねぇの?」

目に掛かるのでは、視力も落ちる一方だろう。ほんとにの●太になってしまう。
優等生は苦笑いをうかべ、再び前髪を掻き上げた。

「自分で切るの、苦手なんです。ハサミ怖いし」
「誰かにやってもらえば?」
「幼馴染みに頼んだことがあるんですけど、酷いことになったので…」

わざわざ前髪の為だけに美容院に行くのももったいないし、と続ける優等生。
そこでふと、先月の身だしなみ検査で女子生徒から没収した赤いピンの存在を思い出した。たしか、引き出しにしまってあったはずだ。
別に普段の生活でピンの色をどうこう言うつもりも無いが、いちおう検査だからと預かって、返すのを忘れていたものだ。

「ジュードくん、ちょい顔上げてみ」
「え? あ、こうですか?」

大人しく真上を向くジュードは、ちょっと馬鹿なんだろうか。素直すぎるだろ。
苦笑を噛み締めて、額を流れる黒髪にピンを通した。安っぽい赤色が艶やかな黒に見え隠れする。

「目悪くなるからな」

状況をイマイチ把握してないジュードはこてんと小首を傾げ、細い指でピンに触れてから小さく頭を下げた。
礼には及ばんよ。


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