アル×ジュ
※ジュード病弱設定で誘拐話
装置から無理矢理引きずり出した体は震えていて、抱く腕に力を込めれば簡単に壊れてしまいそうだった。
これが、俺の不注意の結果。
誰よりも泣きたいのはジュード本人のはずなのに、後から後から込み上げてくる熱いものに耐えるのは俺にはひどく困難だった。
ヴェクサシオンついさっきまで真っ青だったジュードの顔は今は赤く火照っていた。呼吸も荒くて、部屋には湿った咳の音が続く。
アルクノアにさんざん霊力野を酷使させられて、体力も免疫力も低下していたせいで発熱したのだとレイアが言っていた。
ジュードの体はもともと強くはない。医学を始めたのだって、自分のことは自分で対処できるように、周りに迷惑をかけないようにする為だったと聞いた。
「ごめん」
握った手はもう震えてはいない。
異常に高い体温がジュードの命を感じさせてくれる。
憎くて、愛しい熱。
頬に手を滑らせると、冷たかったのかジュードが無意識にすりよってきた。
「守ってやれなくてごめん」
ジュードは強くて脆い。医術を扱えるほど霊力野も発達している。
こんなにも奴らにとって都合のいい獲物はいないのに、ジュードなら大丈夫だと油断していた。
何の実験に使われたのかは知らないし知りたくもないが、ジュードの命が脅かされたのは確かで。郷を共にするアルクノアを撃ち殺すことに何の躊躇いも無かった。
だんだん自分が鬼になっていくような気がして。
悔しい。
辛い。
「アルヴィン…?」
「! …ジュード、」
良かった。目が覚めたんだな。
頬を撫でていた手を離そうとすると、細い指がそれを引き留めた。
「アルヴィン、泣いてる?」
「いいや」
「でも辛そうな顔してる」
敏いなあ。
どうして分かるんだ。涙腺は今も崩壊間際で揺れている。
それを誤魔化すように汗で濡れた額に唇を落とすと、ジュードはころころと笑う。
熱で潤んだ瞳が目蓋の隙間から覗くだけで、口許が緩むだけで安心できるんだから、俺はなんて安上がりなんだ。
「生きててくれてありがとう、ジュード」
細く儚い身体を抱きしめると、弱々しく、それでも必死に俺の背に回される腕が愛しい。
もう離さない。
離れないように。
今度こそ。
一度、二度、三度目のキスで再び眠り始めたジュードの首にそっと吸い付いた。
守ることはこんなにも難しい----------
59000打キリリクで月魚様より
「ジュード病弱設定のアル×ジュでジュードがアルクノアに拐われて実験体なシリアス話」でした。
なんていうか…シリアスどこ行った?←
しかも事後の話で申し訳ない…!
ジュードくんを助けに来る怒れるアルヴィンにしようかとも…思った…んですが。
とてつもなく長くなりそうな上に出だしが悲惨になったので、この形になりました。
もし上記の設定をご希望でしたらごめんなさい…
書き直しはいつでもしますので!
それではリクエストありがとうございました^^*
※お持ち帰りは月魚様のみ可です
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