双忍×竹



生物委員会委員長代理の朝は早い。
太陽よりも早く起き出してきて身形を整えるのもそこそこに、適当に髪を結って飼育小屋へ駆ける。そうして腹を空かせた動物たちに餌をやって小屋を掃除、それが終わったら食事の片付けそして風呂。
苦情になりやすい動物のにおいを和らげて、やっと友人たちが待つ食堂へ向かう。
それは毎日の日課だからなんら問題は無いし辛いとも思わないのだが、それだけに「起きれない」という状態は八左ヱ門を悩ませた。

「あのー…雷蔵、三郎?」
「ぐー」
「ぐー、じゃねえよ起きてるだろ! どけよ!」

双子みたいに瓜二つの親友がふたりして八左ヱ門の部屋にやって来て、今晩は寒いというのを理由に三人で眠ることにした。
それが昨晩。
二人は八左ヱ門の左右に普通に布団を敷いていたはずなのだが、翌日目が覚めてみるとなぜか八左ヱ門の両腕はふさがっていた。
特に寒がりの三郎なんかは、普段なら絶対にあり得ないくらいぎゅうぎゅうとしがみついて離れない。

「飼育小屋に行きたいんだけどっ」
「嫌だよ。はち動物くさくなるもの」
「だからちゃんと風呂も入るって」
「ぐー」
「寝たフリすんなよ!」

殴って起こそうにも両手とも使えないし。蹴ろうにも足も絡め取られてるし。
確かに暖かくて快適なのだが、だんだん明るんできた東の空に八左ヱ門は更に焦る。

「頼むから退いてくれってば!」
「あと三時間…」
「長いし!! 雷蔵さん長い!!」
「ぐー」
「三郎うぜえぇぇぇ」

じたばた暴れていると、完全に覚醒している雷蔵に笑顔で睨まれた。怖い。
八左ヱ門が固まったのを良いことに、雷蔵と三郎は腕だけでなく肩にまで抱きつく。
八左ヱ門はちょっと泣きそうだった。

「あーもう。俺が何したって言うんだよ……」
「別に何も」
「むしろ何もしてくれないよね、はちは」

頬を膨らませる雷蔵。
実際に八左ヱ門が何もしていないかと言えばそうでもないのだが、友達、よりも特別な仲である雷蔵と三郎からすれば物足りない。
餌を欲しいとは言わないが、もっと三人でいることに時間を割いて欲しいとか、誰彼構わず笑顔を振り撒かないで欲しいとか、その他諸々。
八左ヱ門を挟んで動かない二人の胸中に燃えるものが、物言わぬ動物への嫉妬心であることに三人とも気付いていないから質が悪い。
ただ、布団の中が人の体温よりもずっと(気分的に)暖かいのは知っていて、だからこのままでも良いかな、と八左ヱ門が思い始めていることにも全員が気付いているのだった。

「あったかいねぇ」


が降りる朝は


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一万打記念にてむぎちゃんからリクを頂きました「双忍竹」でした

リクエストありがとうございました!!

双忍竹はすごく大好きなんですけどいざ書こうと思うとなかなかどうして難しくて…
双忍竹ってなんだっけとか考えながら書いてました←
こっこれで良いのかな?
わからんが返品はいつでも受け付けてるよむぎちゃんんん!←

楽しく書かせていただきました
ありがとうございました^J^

※むぎちゃんご本人のみお持ち帰り可です


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