好きだ、とこの上なく甘ったるい声音で言われてどういう意味かと訊ねるほど、自分は鈍いつもりはない。
が、愛を囁く男には既に恋仲の者がいると思っていたので、訊き返してしまった。

「…どういう意味で」
「長次をお嫁さんにしたいって意味で」

にっこり微笑む男に留三郎はと問うと、ついでにお前が嫁の方だと思っていたと付け加えると、男、伊作は苦笑いをうかべた。

「よく夫婦漫才とは言われるけどさ」

留さんは関係ないし僕が下になるつもりは無いよ。と宣う口許が攣きつっているのは何なのか。
なるほど伊作は穏和そうな見た目通り穏和な性格だが、実は図太かったりもする。なんだかんだで流されやすい留三郎では伊作を御すのは難しかろう。
などと考えていると、のびてきた腕に正面から抱きすくめられた。

「ねぇ長次、返事は?」

促す声がどこか自信なさげで、甘えているようにも聞こえる。
自分はこの声が嫌いではない。
嫁に来いと言われたらそれは是非とも遠慮願いたいが、好き嫌いの話ならば好きだ。
薄い背中に腕を回して抱き締め返すと、小平太が好きなんだと思ってた、と呟く伊作。
小平太か。あれと恋仲になるのは却下だ。
体温を分け合う密着した体を離したくなくて、伊作がくすくす笑うのに合わせて揺れる肩をたどり、薄い耳朶に口付けた。


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伊長はいつもいさっくんが小平太に嫉妬してる気がする…
まあ伊長とかほとんど書いてないけどね!←

伊長は部屋で笑いながら、耳朶にささやかな甘いキスをするでしょう。






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