この気持ちが熱を持ち始めたのは、いつからだろう?
『憧憬』が、『恋慕』へ変わったのは。
きっとそれは思い出すことも億劫な遠い昔のことで、だけど本当はつい最近のことのはず。
ただ、色々ありすぎて。
思考を止めると同時に思い出すことも辞めてしまった脳は、遠い昔だと判断した。

では、『恋慕』が別の何かに変わったのは? いったい何時からだろう。
十年前は、まだ淡い甘やかな気持ちを抱いていた。それは心臓が作り物に摺り変わってからも同じだったように思う。
生きてしまった事に絶望しても、まだ。

では、何時?
美しき理想を掲げる騎士の鑑が、だんだん変わってきた頃。その人に、少なからず恐怖を覚えるようになった頃。
ギルドの仕事が楽しくなってきた頃で、ドンの懐の広さに気付いた頃で、そして彼らに出会った頃。
だんだんと、その人が憐れみの対象になっていった。
感情の変化の瞬間はあまりに呆気なく、自分自身の事だと言うのに気付かなかった。
その人を見る自分の眼が以前とは違う光を孕むようになったのにも、その人に触れる自分の指が以前より遠慮がちになったのにも、何一つ。
それほどまでに急速に、俺は変化しているのに。
貴方は立ち止まったままなのか。

「───…アレクセイ様」

それは、なんと寂しい事だろうか。
絶対に動く事はないだろうと信じていたものがあっさりと変化し、自分は動けず孤立してしまうなんて。
希望も未来もある子供達に囲まれた道化の俺も、そうだった。
だから。

「戻ってください」

十年前の貴方に。
後戻りすることはきっと、置いてけぼりをくらうよりずっと良いに違いない。
だって、自分はまだ歩けると何よりの証拠になるのだから。
だから、せめて以前の貴方に。

「シュヴァーン」
「私はもう、戻ることも進むことも叶いませんが」

貴方はまだ、生きているのだから。

「、愛していました」

俺を、置いていってもいいから。


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なんかよく解らん(´・ω・`)
酷い事されても心のどこかで大将を想うシュヴァが書きたかった。はず。


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