※学パロ





学校を苦痛と思ったことは無かった。
授業参観だからって私の身内が来るわけでもないから普段通りだし、受験だって今まで通り勉強すれば問題無いし、クラスだって普通に楽しい。
休み時間はエステル達と喋ったり、本を読んだりたまにお菓子を食べたり。わざわざ高等部からやって来るんだから、相当物好きよね。
お昼も、弁当は無いから購買で適当にサンドイッチを買って食べる。食べながら本を読んでると、必ずと言っていい程タイミングよく通りかかるおっさんが苦笑する。

「お行儀悪いわよ、リタっち」

べつにそんなの私の勝手じゃない。本も手も汚さないために、パンを選んでるんだし。
反論すれば、じゃあ今度おっさんがお弁当作ってきてあげる、なんて言うから、反射的に本の角で殴ったりして。
いらないわよ親でもないんだし。
そうやって可愛くないこと言うと、少しだけ困ったように笑うのがあいつの常。
そうよ。
あいつは何時だって困った顔をする。
笑ってても叱ってても、とにかく少しだけ困ったような。ふにゃ、って眉が下がってる。それが、ちょっと嫌いでちょっと好き。

きっと私は、教師から見たら可愛くない子なんだと思う。教師から見なくてもそうなんだろうけど。
どこかで聞いたことがある。教師からして1番可愛いのは、そこそこ勉強は出来るけどそこそこ態度が良くなくて、だけど愛嬌のある適度に手のかかるヤツ。
それがいったいどんな統計から産み出された結果なのかは知らないけど、もし世間一般的な回答としてそれが当てはまるなら、私はその逆まっしぐらな自信があるから。
可愛くない子。

「リタっちは可愛いねぇ」

馬鹿言わないでよ。判ってるわよ、自分でも。だからそんな気休めいらないの。
お弁当もいらない。
困った笑顔も見たくない。
構ってくれなくていい。
私が取っ付きにくいってこと、ちゃんと知ってるから。

でもね、

本当は、少しだけ欲しいものがある。
授業参観の日は、私のこと当ててほしい。絶対に答えてみせるから。
受験勉強も、付き合ってほしい。絶対に受かってみせるから。
お弁当はいらないけど、毎日タイミングよく通りかかってほしい。
困ったような顔の代わりに、馬鹿みたいに笑って。

『リタっち』

って呼んでほしい。
私はそれで構わない。それだけで。
だから、来年も再来年もその次も、私の担任になってよ。
ねぇ、先生?


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おっさん大好きなリタが大好きです笑


 


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