※五年後
軽くしねた
ずっと前に、正確には五年と二ヶ月前に学園を卒業なさった潮江先輩へ。
貴方は今、どこにいますか? 探せば会えるほど近くに居てくださいますか?
私は幼かったあの頃から五年という歳月を経て、晴れて六年生になりました。未だに会計委員に所属しています。つい二ヶ月ほど前、同じ会計委員の団蔵とどちらが委員長になるか揉めたのですが、私は委員長の座を勝ち取りました。潮江先輩が仰った「十キロ算盤を使いこなす」という会計委員長の条件を、私も団蔵も満たしていたため口論になったのですが、利口な後輩が字が読める方が良いと私を推してくれたのです。
私は今やっと、貴方と同じ位置に立つことが出来ました。体術は先輩に及ぶとは到底思えませんが、知識はそれなりについてきたと思います。袋槍の扱いも勉強しました。
私は貴方になりたいのではありません。忍術学園一ギンギンに忍者していらっしゃったのは後にも先にも潮江先輩お一人だと思います。私は、それに憧れ目指した多数の中の一でしかありません。私は、貴方に認めていただきたくて、貴方の隣に立つことを許してほしくて、今までやってきました。黒門伝七を覚えていますでしょうか。彼には阿呆だと罵られました。大人しいと思っていた伝七は、どうやら立花先輩に似たようです。笹山兵太夫はもっとえげつないのですが。
話が逸れましたね。
何が言いたいのかというと、私は心から貴方をお慕いしておりました。幼心ながら貴方に不埒な想いを抱いていたのです。忍者の三禁を破ることさえ厭わないほど、貴方を尊敬し、愛しておりました。どうか愚かな私をお許しください。そして、昔のように、また頭を撫でてほしい。以前は気恥ずかしかったそれが、今ではとても懐かしいのです。
先輩。
潮江先輩。
私は、貴方の隣へ行っても良いのでしょうか。貴方は笑ってくれますか?
再び、貴方の手に触れられる日を心待ちにしております。
どうか、長い永い旅から、貴方が無事で帰られますよう。
貴方の墓標前から
任曉左吉
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サイト内で2回ももんじを殺してしまった←
将来の会計委員長は左吉で、団蔵は予算会議時の特攻隊長になっていただきたい(^q^)