※ノンケ久々知
他人から好意を向けられることは嬉しいことのはずなのに、素直に喜べなかったのはひとえに相手が自分と同性なせいだろう。
俺の言葉にひどく傷ついて歪めた顔はどこからどう見たって男で、どうしたって中性的にさえ見えなくて、自分よりも形良く鍛えられた肩は逞しい。
それなのに、いったいどうやって熱烈な愛の告白を受け入れろというのだ。
「えっと、ごめんね?」
「ああ、いや……おれの方こそ、急に好きだなんて言ってごめん…」
うつむいた顔を水平なぱっつんの前髪が覆って、表情は隠れてしまった。けれど、特に見たいとも思わない。だってかわいらしい女の子の繊細な涙ならともかく、こんなどこにでもいるような男子の、女々しい涙なんて!
口には出さないけど、正直ヒく。
それまでこらえていたのか肩が小刻みに震えていたのが、とうとう嗚咽まじりの泣き声になって。
拳で涙を拭う姿は痛々しい男子だった。
「ごめん、兵助。ごめん……!」
嫌いになってもいいから。もう口も聞かなくていいし目も合わせてくれなくていいから。こんなの自己満足でしかないけど、おれの気持ちを知っててくれれば、それで。
途切れ途切れに必死でそれだけ言うと、八左ヱ門はくるりと踵を返し校舎へ駆けていった。
その、寂しげな背中が。
廊下の曲がり角のその向こうへ消え去る瞬間、やっとおれは前方へのびた自分の手に気付いて、盛大に舌打ちをしたくなった。
おれは、最善で当然の道を選んだつもりだ。
こんなにも美しくて冷たい世界にぼくは生きている。
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竹谷を失恋させちゃってすみません久々知が嫌なやつですみません気分を害された方はご連絡ください!
でも言い訳すると久々知も無自覚で竹谷が好きなんだぜ!ぜ!
だってうちは竹谷愛されサイト\(^o^)/