※現パロ
遠く遠く離れた実家と今の住居を繋ぐ特急電車の中、トンネルに入る度にケータイを閉じて舌打ちした。
どうしてこう、日本は山が多いんだ。
日本海側と太平洋側を行き来するためとは言えこう頻繁にアンテナ三本と圏外を繰り返されるとイライラする。長いトンネルに入る毎に中断されるメールの送信。
仕方がなく外を見ても、雪で真っ白に染まった山間部はいつまでも同じような景色だし。
太平洋側で俺を待つ恋人とのメールを断たれた今、イヤホンを通じて頭に響く好きなアーティストの歌声だけが癒しだ。やっぱりそのアーティストを好きになるきっかけとなった曲は思い入れが深くて、ロック調なのにささくれだった気持ちを宥めてくれる。
「はち、」
太平洋側に住む俺たちは、このアーティストが歌うような雪道に足跡だとかポケットに相手の左手を招くだとか、そんなお洒落で恥ずかしい真似は出来ないのだけど。
だからこそ、早く会って、せめて炬燵に足を突っ込むとかしてそれなりに寒い冬を満喫したい。夢を叶えてはくれない、しかも電波を妨害するような冬の山は早めに抜けてほしいものだ。
頬杖をついて外を眺める、吐いた息でぼんやり曇った車窓に指先でハートをなぞった。
そんなことで、早く会いたいと一歩先を往く心臓は止まらないが。
微々たる恫喝
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尾浜も竹谷も名前以外1ミリも出てませんがそういう気分で書いたので尾竹ってことでお願いします←