※現パロ



雷蔵が、甘い小さなサンタを片手にうんうんと悩んでいた。

「らーいぞー食べないのか?」
「ううん…食べるけど……」

マジパンで作られたサンタはクリスマスケーキの白いクリームに立っていたヤツで、熾烈なるケーキの飾り争奪じゃんけん戦争にて見事2位を勝ち取った雷蔵が選んだものだった。
ちなみにドベだった俺は、チョコのプレートもサンタもラズベリーもなんで乗ってるのか分からないキノコ型の砂糖菓子も全て奪われ、寂しくまっさらなショートケーキを頬張るのみである。
そんな俺の目の前でサンタを食べるともなしに唸られたら、いっそ俺が食べてやろうかと淡い欲望が頭をもたげる訳で。
しかし、悩んでる雷蔵からものを横取りなんてすれば、雷蔵至上主義者の三郎に殴り飛ばされるのは確実なので手が出せない。
よって俺は炬燵からはみ出した上体を抱きつつ、未だ雷蔵の口に入らないサンタを恨みがましく見つめるしかないのだった。

「雷蔵は何を悩んでるんだ?」
「あのね、明らかにこのサンタを一口で食べるのはキツいと思うんだ」
「それで?」
「でも、頭から食べたら首なしになっちゃうし、でも下から食べたら生首が残るでしょ? だからどっちから食べようかって」
「生首とか言うなよ…」

そりゃ、たい焼き然りひよこ饅頭然りの悩みどころだけどさ。悩むならサンタを選ばなければ良かったのに。

「あ!」
「あ?」
「誰かに半分食べてもらえば良いんだ! ね、名案でしょ、はち?」

突然きらきらと目を輝かせた雷蔵。それに三郎が引き寄せられないはずがなく。

「じゃあ私が半分食べてあげようか、雷蔵」
「ううんいらない間に合ってる」

雷蔵ってば容赦ないんだから。
満面の笑顔のまま撃退された三郎は炬燵に頭まで潜り込んだ。中からめそめそ聞こえる泣き声が気持ち悪い。
雷蔵は小さな掛け声とともにサンタの首と胴体を分断すると(雷蔵さん怖い!)、首の方を俺に差し出した。

「はち、メリークリスマス」

にっこり。
プレゼントがマジパンサンタの生首ってのは微妙だけど、何はともあれ寂しいショートケーキに若干のクリスマスっぽさが付け足された。まるで、冬の寒さと心の寒さで震えていた体がぽかぽかと暖まるよう。
そんな雷蔵の気遣いが嬉しくて、足首に噛みついてくる三郎を無視してこいびとに抱き着いた。
今日の天気は雪である。


メリークリスマス!
(はちのクリスマスプレゼント迷って決められなかったから、それね?)
(え? あ、はい…)



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全くもって実感がわかないクリスマスイブ笑
いろんなサイト様のクリスマスなムードで辛うじて認識してるレベルですかっこわらい←

うちのサイトでたぶん初めての雷竹は甘やかし雷蔵さんに収まりました笑
五いも出してあげたかった…!


 


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