新野先生がいらっしゃらない今、保健室は僕の支配下にある。そこにわざわざ倒れた竹谷を運んできてくれた同じ顔した二人には、感謝しても感謝しきれない。
当然、その二人には出ていってもらった訳だけど。
竹谷が倒れた原因は、過労。
人一倍強い責任感が祟ったのか、しなくても良い仕事まで引き受けて。抱えきれないほどの負担をずっと一人で背負ってきた、そのツケが回ってきたらしい。
文次郎ほどではないけれど、目許にはくまができている。
傷んだ前髪を掻きあげて、顕になった額はわずかに汗ばんでいるし。そこに唇を落とす、少ししょっぱい。
「…ん、う……あれ、伊作先輩?」
「大丈夫かい?」
「あ、はい」
竹谷はキョロキョロ辺りを見回すと、ここが保健室だと気付いたらしい。起こしかけた体を再び布団に沈めた。
「倒れたの、覚えてる?」
「…はい」
「あとで鉢屋と不破にお礼言うんだよ」
「はい」
良き先輩として、保健委員として優しさを全面に押し出して微笑んでやると、竹谷も安心したように口許を緩めた。
本当に、竹谷はかわいいなぁ。
留さんや小平太がことあるごとにちょっかいを出すと言うか、構ってやるのもわかる気がする。後輩からすれば頼れる先輩なのだろうが、こちらからすれば放っておけない比護対象。
護ってあげたい、なんて思う反面、僕の奥底で燻る何か黒いモノが頭をもたげた。
それはきっと、加虐心。
安心しきっている竹谷の顔の両側に手をついて、体を跨ぐ。
「伊作先輩?」
「ねえ、竹谷。僕の玩具にならない?」
「は、」
「竹谷はかわいいからね。特別に大切に扱うよ。痛くないようにするし、もし壊れちゃったら、すぐに治してあげる。僕は保健委員だからね。どう?」
けっこう良い話だと思うんだけど。
思っていたより白い頬に舌を這わせると、これまた予想外に滑らかで。どこか甘いような気もする。
突然の出来事に目を白黒させる竹谷は、まだこの状況と僕の提案を理解出来ていないらしい。頭が少し足りないのも、愛しい。
「あの先輩、おっしゃる意味が解りかねますが」
「そう? 簡単なことだよ」
僕のものになれば良い。
「僕は竹谷のことが好きだから」
なんなら今すぐにでも襲ってしまいたいくらい。
僕の唾液でそこだけてらてらと光る頬が艶かしい。恥ずかしいのか何なのか顔が赤くなって、一瞬、僕はもう竹谷を襲っているのでは、と錯覚。
それも良いかも知れない。
「十秒以内に答えてね。いーち、にー」
「えぇっ!? 先輩ちょっと、むぐっ」
「さーん、しー」
あわてふためく竹谷の口を両手ふさいで、そのまま数字を数える。竹谷の手が絡んできてなんとか抵抗するけど、僕もいちおう六年生の端くれなんだから。
「はーち、きゅー、じゅう! はい決定」
解放してやった瞬間、まるで首でも絞められてたみたいに荒い息を吐き、むせる竹谷。
「ねぇ竹谷」
「は、うぁっ痛」
「優しいのは良いことだけど、自分の体のことも考えてあげなきゃ」
「すみませっ先輩、痛いです!」
瞼の間に舌をねじ込み眼球を直接舐める。ぼろぼろ大粒の涙を流しながら体を必死で捩る様は、そこまで強くないはずの加虐心をますます煽って。
「これから僕の玩具になるんだから、ね?」
なかなかに乱暴な手段だと思わなくもないけど、ここは保健室。僕の独裁国家だから。
ただ、疲れきった顔に絶望も或いは愉悦もうかばないことだけはどうしようもない。良いんだ。これから調教してあげれば。
ふと、玩具じゃなくて飼い犬にすればよかったと、それだけが悔やまれた。
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ヤンデレって何だろう(´・ω・`)←
今度リベンジ!!
相変わらず支離滅裂な文章ですみません勢いだけで短時間で書いたもので…
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