※六年→三年くらい



長次がほっぺたを怪我した。右のほっぺただ。
消毒の塗り薬がよほどしみたらしく、医務室から帰ってきた長次は目にいっぱい涙をうかべていた。
長次の左のほっぺたが傷付いたときもそうだったけど。
私は込み上げてくる衝動のまま、大声で泣いた。
痛かったのも薬がしみたのも、これから傷のせいでいろいろ不便をするのも長次なのに、なぜか私が悲しくて。
視界が歪んだ。零れた熱い水が握りしめた手の甲に落ちて砕けるのを感じながら、喉がかれるまで泣き続ける。
長次がおろおろ。視線をきょろきょろ。
小さな手(と言っても私と大して変わらない)がのびてきて、ぽんぽんと頭を撫でてくれる。見れば長次の目はもう濡れてなくて、いつもの無表情にちょっとだけ心配の色が乗っていた。
どうして長次はこんなに強いんだろう。
私は長次を好きなんだって自覚した日、長次がなんと言おうと守ると決めたのに。ほっぺたを傷付けたなにかから守れなかったばかりか、慰められるなんて!
自分の不甲斐なさに、似合わないと分かっているけど自己嫌悪に陥りそうになる。そして理不尽なことを願ってしまう。
どうか、どうか。

「私より強くならないで、長次」

長次は女の子じゃないし立派な忍たまだから、こんなことを願ってはいけないと理解はしてるけど。
私の手の届かないところに行かないでほしい。
せめて、私の隣に。


に咲く
(同じ目線で歩きたいんだ)


----------
なんだか明るい小長が書けなくなってきた←
うーんうーん(--;)


 


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -